地名語とは、地名、住居表示住所、一部の地番住所、およびコードを対象とする。
- 地名
- 行政地名:国名,都道府県名,市区町村名などに加え,大字名や小字名なども含む.
- 自然地名:山,川,湖,半島などの地形に関する地名.代表点を定義しにくい場合がある.
\item {\bf 地域名} 正式な定義はないが一般に通用する名前.境界は明確でない場合もある.
\item {\bf Point of Interest (POI)} 公共的施設に加え,鉄道などの構造物,さらには商業的施設なども含む.ただし命名されているものに限る.
\end{itemize}
\item 住所
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\item {\bf 住居表示住所} 町丁目・街区番号・住居番号という階層で表現された住所.
\item {\bf 地番住所} 大字・地番という階層で表現された住所.
\item {\bf 道案内式住所} 基準点からの道順をつなげたような住所.京都市中心部における住所が代表的.
\end{itemize}
\item その他
\begin{itemize}
\item {\bf コード} 郵便番号等,地域を分割してユニークなIDを付与したもの.
\end{itemize}
\end{itemize}
最も典型的な地名は行政地名であり,特に都道府県名や市区町村名などは代表的な地名である.それに対してPOIは圧倒的に数が多く,それらのリストは部分的にしか存在しないことから,様々な情報ソースに散在する情報を収集しなければならない.ただし商業施設などを含められればビジネス等で応用範囲は大きく広がり,ビッグデータ・アナリティクスの基本処理としての利用価値は大きいと考える.
最後に地名語に関するオープンデータの状況をまとめておく.地名語に関するデータを積極的に公開している政府機関は,国土交通省国土政策局と国土地理院である.まず国土政策局は,位置参照情報ダウンロードサービス\cite{isj}において「街区レベル位置参照情報」を提供しており,街区番号(○○町○○丁目○番)単位で代表点の緯度経度をまとめている.また,住居表示が適用されていないが都市計画区域内にある地域については,「大字・町丁目レベル位置参照情報」を提供しており,大字(○○町大字○○)単位で代表点の緯度経度をまとめている.一方国土地理院では「住居表示住所」の一覧を配布しており\cite{gsi},住居番号(○○町○○丁目○番○号)単位で代表点の緯度経度をまとめるだけでなく,住居番号ごとに公式URIを定めることでLinked Dataにも活用しやすいデータとなっているが,整備範囲が住居表示地域の一部にとどまっているという問題がある.
データの利用については,国土政策局のデータは利用にあたって特別な許諾手続きが不要なのに対し,国土地理院のデータは測量法に基づく利用申請手続きが必要なため厳密な意味でのオープンデータではない.国土政策局はその他にも「国土数値情報」として多数の施設の位置情報を提供しており,公共的施設に関しては有用なデータソースとなっている.