台風200909号 (ETAU) 台風の名前 = アータウ (ETAU) : 嵐雲 [米国]

2009年08月13日 20:00 JST

台風9号(ETAU)による水害に関しては、佐用町での避難勧告問題が引き続き話題になっています。川の防災情報によると、佐用川の佐用水位観測所では、基準値が以下のように設定されています。
水防団待機水位 2.50メートル
はん濫注意水位 2.80メートル
避難判断水位 3.00メートル
はん濫危険水位 3.80メートル
これを踏まえて、以下では2009年8月9日の水害に関する動きを時系列で追ってみます。 アメダス:佐用の降水量を見ると、当日は朝から強い雨が断続的に降り続いていましたが、19時から20時に降水量60mmを記録しており、この頃から雨が非常に強くなってきました。その結果、佐用川の水位は19:58に「避難判断水位」に達し、本来ならここで避難勧告が出るべきでしたが、この時点ではまだ避難勧告は出ませんでした。そして20時から21時に降水量82mmと雨はさらに強まり、この地では前例のない豪雨となって、佐用川の水位は20:40に「はん濫危険水位」を越えました。避難勧告がようやく出たのはそこからさらに40分遅れた21:20で、この頃には水位はすでに大幅に上昇しており、その30分後に最高水位に達して22:00頃には水位5.01メートルを記録しました。 一方、佐用町本郷地区詳細地図動画による解説)では、避難中に6名が犠牲になりましたが、これは町からの避難勧告が出る前に自主避難していた方々のようです。この地区では20:00頃から自治会役員らが注意を呼びかけ、20:20頃に一部の方々が小学校に自主避難するために移動を始めましたが、その途中の公民館前で用水路(側溝)から溢れ出た濁流に流されてしまいました。ここだけ水位も高く流れも急だったとのことですが、夜間の懐中電灯だけでは濁流を十分に認識できなかった可能性もあり、もし昼間だったら起こらなかった事故かもしれません。 また、この地区を流れる幕山川は佐用川の支流で、幕山川には水位計はありません。したがって、この川の水位の変化が佐用川と同じだったという保証はなく、たとえ佐用川が「避難判断水位」に達して速やかに避難勧告を出していたとしても、この川ではすでに手遅れだったかもしれません。もし避難勧告が速やかに出て多くの住民が避難を始めたとすると、この地区ではさらに犠牲が拡大した可能性さえあるようです。 この時系列を見てみる限り、これは果たして「避難勧告をもっと早く出せばよかった」というだけの問題なのか、という疑問が湧いてきます。このような急速な水位の上昇に際しては、限られた水位計を監視し、中央から避難情報を発し、住民はそれに従う、というモデルでは原理的に対応が間に合わないのではないでしょうか。上の動画で佐用町長は、避難について「行政としてはひとりひとりに言えない」と本音も交えながら語っていますが、要するに一律の避難情報モデルでは被害を防ぎ切ることは難しい。今回の問題を避難勧告タイミングの責任追及に矮小化するのではなく、避難という行為の意味をもう一度考えなおすべきなのではないでしょうか。

2009年08月11日 01:00 JST

台風9号(ETAU)による死者は岡山県と兵庫県を中心に死者13人、行方不明18人に達しています。特に痛ましいのは、避難所に向かう途中に洪水に流されてしまった方々です(特に兵庫佐用町での豪雨による災害)。今回は夜間に避難勧告が出たため、周囲も見えない真っ暗な状況での避難となってしまい、危険な避難状況であったことが原因と考えられます。 避難勧告が出たら避難所に避難すべき、それに従わないのは悪いこと、というのがこれまでの一般的な考え方でした。しかし本当にそれがいつでも最良の判断なのか、そんな議論が最近は盛んになりつつあります。自宅で災害に合う確率と、避難途中で災害に合う確率とでは、一体どちらが高いのか。そのリスクは状況によって時々刻々と変化しますが、どんな場合でも避難すべきというのは自明ではないでしょう。ただし状況によってリスクが異なるという考えの下では、危険な状況への対処は個人の自己責任ともなりかねません。もし避難勧告の対象者の中に、本当は避難しない方がよい人々がいたとしたら、そのことを誰がどう判断すればよいのでしょうか。 ともかく行政の責任として、避難勧告それ自体は必ず出さなければなりませんし、それによって人々の避難を期待するのも当然のことでしょう。しかしその情報に忠実に反応した結果として、避難途中で災害に遭うという痛ましい事故が起こりうるのだとすれば、事故防止には個人個人が情報に対して適切に反応するための仕組みを作ることも必要になるでしょう。まだ名案はありませんが、今後の重要な課題です。

2009年08月10日 08:30 JST

台風9号(ETAU)は日本に接近して、本州南岸に沿って進む予報になっています。昨日から四国や中国地方では激しい雨が続いており、アメダスイベント検出を見ると、徳島県から岡山県、兵庫県にかけて、ほぼ南北に延びる線状地域で記録的豪雨となっています。また降水量ランキングを見ると、関東地方にも強雨地帯が広がっており、台風の東進に伴って他の地域でも大雨となりそうです。兵庫・岡山では死者4名、行方不明10名前後が報告されています。

2009年08月09日 22:15 JST

台風9号(ETAU)が日本の南で発生しました。すでにアメダスでは四国から中国地方を中心に大雨が観測されていますが、南から吹く湿った風によって今後さらに各地で雨量が増えるおそれもあります。

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