デジタルアーカイブ
大地震で失われた遺跡のデジタル3次元復元、建築物のデジタルアーカイブ作りを進めています。その成果は以下の2つのサイトでご紹介しています。
展示
2015年1月10日から開催する東洋文庫ミュージアムの企画展『もっと知りたい!イスラーム展』に、イラン・バム地震のデジタルアーカイブを展示しています。こちらの展示に関するごあいさつを以下に掲載いたします。会場内でしか見られない復元画像などもありますので、ぜひお越しください。
イラン南東部の遺跡「バム城塞」は、かつては世界最大級の日干しレンガ建築物とも言われていた遺跡で、シルクロード沿いの知る人ぞ知る遺跡として、多くの旅人を魅了してきました。19世紀には住民が撤退した廃墟は徐々に崩れつつありましたが、それらを元の姿に修復するという地道な作業も、長年にわたって続けられていました。
ところが、ある朝、古都バムを大地震が襲います。2003年12月26日午前5時28分、マグニチュード6.6の地震がバムの直下で発生したのです。地震による死者は2万人とも3万人とも言われる大災害となり、バム城塞も全面的に崩壊してしまいました。貴重な文化遺産は危機に瀕し、かつての姿を偲ぶことは難しくなってしまいました。‘
そこで、国立情報学研究所「ディジタル・シルクロード」プロジェクトは、地震前の遺跡の姿をとどめる写真など、各種の資料を収集する活動を地震直後から開始し、ウェブサイトを緊急に立ち上げて世界に向けて資料提供を呼びかけました。呼びかけに応え、世界各国のバム遺跡を愛する人々から、資料提供の申し出が相次ぎました。そして収集した資料を基に、バム遺跡をデジタル的に復元するプロジェクトを2004年に開始しました。
このプロジェクトの推進力となったのは、当時イランから日本に留学していたエルハム・アンダルーディ氏です。彼女はバム遺跡で自ら修復に従事した時期があり、だからこそバム遺跡の崩壊に大きなショックを受けました。復興に向けて何かしなければならないと考えた彼女は、かつてのバム遺跡を記憶にとどめたいとの思いから、その後10年にわたる3次元デジタル復元プロジェクトを粘り強く進めてきました。そして、国立情報学研究所とテヘラン大学・建築学部を中心に、イラン文化遺産観光手工芸庁、早稲田大学大学院・国際情報通信研究科、パリ・パル・ド・セーヌ建築大学・建築都市バーチャル空間構想グループから構成される国際的なチームが協働することで、地震から10年の2013年12月に、3次元デジタル復元プロジェクトは遺跡主要部分の完成を迎えることができました。
バム遺跡は、大地震による被害を受けて、2004年にユネスコ世界遺産(危機遺産)に記載されました。地震からの修復作業は今も徐々に進んではいますが、巨大な遺跡の全面的な修復は困難なのが現実です。そこで物理的な復元の前段階として、我々はデジタル的な復元を追究し、その成果をコンピュータグラフィクスで描き出しました。本展示では、再現された遺跡を様々な視点からご覧になれるよう、多数の画像と映像でご紹介します。
東洋文庫ミュージアムでの展示に関しましては、東洋文庫ミュージアム 企画展示もご覧下さい。
エッセイ
発表文献
- Asanobu KITAMOTO, Elham ANDAROODI, Mohammad Reza MATINI, Kinji ONO, "Post-Disaster Reconstruction of Cultural Heritage: Citadel of Bam, Iran", 人文科学とコンピュータシンポジウム じんもんこん2011, pp. 11-18, 2011年12月.
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Mohammad Reza MATINI, Alireza EINIFAR, Asanobu KITAMOTO, Kinji ONO, "Digital 3D Reconstruction Based on Analytic Interpretation of Relics; Case Study: Bam Citadel", Proceedings of the 22nd International Symposium on Digital Documentation, Interpretation & Presentation of Cultural Heritage (CIPA 2009), 2009年10月 (in English)
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Elham ANDAROODI, Kinji ONO, Asanobu KITAMOTO, "Metadata-Based Terminology Ontology for Knowledge Management of an Architectural Heritage in Danger", Proceedings of the Conference on Virtual Systems and Multimedia (VSMM08), Vol. Full Papers, pp. 179-186, 2008年10月 (in English)
- Mohammad Reza MATINI, Elham ANDAROODI, Asanobu KITAMOTO, Kinji ONO, "Development of CAD-Based 3D Drawing as a Basic Resource for Digital Reconstruction of Bam's Citadel (UNESCO World Heritage in Danger)", Proceedings of the Conference on Virtual Systems and Multimedia (VSMM08), Vol. Full Papers, pp. 51-58, 2008年10月 (in English)
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Kinji ONO, Elham ANDAROODI, Alireza EINIFAR, Nobuaki ABE, Mohammad Reza MATINI, Olivier BOUET, Frank CHOPIN, Takashi KAWAI, Asanobu KITAMOTO, Asaka ITO, Eskandar MOKHTARI, Saeed EINIFAR, Seyyed Mohammad BEHESHTI, Chahryar ADLE , "3DCG Reconstitution and Virtual Reality of UNESCO World Heritage in Danger: the Citadel of Bam", Progress in Informatics, No. 5, pp. 99-136, 2008年03月 (in English)
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イラン・バムの城塞:ニュースをご覧下さい。
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