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デジタル台風:お知らせ:「伊勢湾台風メモリーズ2009バーチャル版」のオープン |
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2010年02月02日
「伊勢湾台風メモリーズ2009バーチャル版」のオープン
本日伊勢湾台風メモリーズ2009バーチャル版がオープンしました。これは、昨年の9月に伊勢湾台風50年事業の一環として展示した伊勢湾台風メモリーズ2009をウェブ上に再現したものです。本システムは会場で見る方が圧倒的に迫力がありますが、かといって展示には大きなスペースを必要としますので、なかなか実演することができません。そのため、ウェブ上でもっと気軽にシステムを体験していただけるようにしました。
一つの使い方として、教育への利用が考えられるでしょう。地図上で場所を選ぶことで高潮の高さをビジュアルに確認できますので、自分の家の周囲でどのような高潮が起こったのかを学習できます。またその結果は「影絵画像」として保存できるだけではなく、そこにコメントも残せますので、みんなで感想を書き合うような形で使うことも可能です。さらにみんなでいろいろな場所の高潮を調べれば、実写型ハザードマップを影絵で埋めて、各地の高潮をビジュアルに見せることもできるでしょう。いろいろな形で本サイトを防災教育などに利用していただければ幸いです。
なお影絵として画面中に設置できる人物は、身長が140cm、160cm、180cmに固定されています。この身長を可変にしたり、複数人を設置できるようにしたりするアイデアもありましたが、時間が足りずに実装できていません。こうした改善点についても、もし何かありましたらお知らせください。今後の改良の検討材料にさせていただきます。
「伊勢湾台風高潮マップ」の更新
上記サイトの公開に合わせて、伊勢湾台風高潮マップも更新しました。主な更新点は以下の3点です。
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標高に加えて地上高を追加:名古屋会場での指摘、すなわち「被災者にとって重要なのは、海面からの高さ(標高)ではなくて、地面からの高さ(地上高)だよ」という指摘に応えるために、各地の地上高を推定した新しい地図を見られるようにしました。地上高は標高から地面の標高を引くことで計算していますが、この地面の標高には現在の値を使っています。したがって、地盤沈下などの影響により当時の地上高とは異なる可能性もありますが、データ入手のしやすさからひとまずこの方法を用いることにしました。地上高がそれほど重要なのは、伊勢湾台風の被災地には海面下の土地が大きく広がっているために、標高よりも地上高の方が高くなる場合があるからなのです。実際に標高でみると高潮は最大で4.5m程度でしたが、地上高に直すと6.4m程度にまで大きくなります。これは水面の高さが6mを越える場所があったとの記録にも対応します。
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川を基準にして計算範囲を分割:以前の高潮マップでは全体を一つの範囲として各地の高潮の高さを計算していましたが、これには大きな問題がありました。川の両岸で高潮の高さが大きく食い違う場合、不自然な高潮の分布となっていたのです。今回参考にした気象庁の図面でも川の両岸はあいまいに描かれていることから、今回は川を基準にして計算範囲を分割することで、川の両岸で不自然な段差が生じることを防ぎました。
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グリッドや等値線の見直し:その他、グリッドの細かさや等値線の滑かさなど、いくつかの点で前回のバージョンを改善し、デジタル地図がより原図に近い形になるように調整をおこないました。
これによって伊勢湾台風高潮マップもより改善された地図に生まれ変わりました。こちらもご利用ください。
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