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サイクロン・シドル(シドゥル)(国際名:SIDR、米国合同台風警報センター番号:06B)は、ベンガル湾に発生するサイクロンの中でもかなり強い勢力にまで発達し、勢力がピークに達した少し後の現地時間11月15日深夜(17 UTC)にバングラデシュ西部に上陸した。サイクロン自体のサイズとしてはそれほど巨大なものではないが、サイクロンが発達して中心付近の風速が強かったために、強風や高波による被害が拡大したと考えられる。高波による死者だけでなく、強風による倒木や家屋の倒壊による死者も多いようである。
サイクロンによる死者は数千名に達するとの情報もあるが、遠隔地では通信手段が遮断されているため、正確な情報の収集にはおそらくかなりの時間を要するだろう。ベンガル湾のガンジスデルタ地域は世界で最も熱帯低気圧に脆弱な地域であり、被害はかなり大規模になる恐れがある。
ただし、バングラデシュでも災害対策は着実に進みつつある。今回のサイクロンは、勢力としては1991年のサイクロンに近かったが、この当時の死者数138,000人と比べると、全体の被害規模としてはかなり小さな規模にとどまる見通しのようである。サイクロンシェルターの設置により、100万人ほどの人々が高潮・高波から避難することができるようになったし、早期警戒情報の伝達ネットワークも充実した。バングラデシュでも防災への取り組みは成果を挙げつつあると言えるだろう。
しかし、沿岸地帯に居住してサイクロンシェルターを必要とする人々は、本当は1000万人に達するという説もあり、サイクロンシェルターは十分に普及したとは言えない。防災対策の恩恵を得ていない地域では、1991年のサイクロンに匹敵する被害となっている可能性がある。また多くの漁船がサイクロンから逃げ遅れたという情報もあるが、これは情報伝達ネットワークが不十分であることを示している。バングラデシュにおける防災対策は、まだまだ息の長い取り組みが必要のようである。
さらに詳細な情報については、ウィキペディア:Cyclone Sidrも参照。また参考として、バングラデシュの気象情報の現状とサイクロンからの復興も。
ウィキペディア。
http://en.wikipedia.org/wiki/Cyclone_Sidr
ReliefWebによるバングラデシュにおけるサイクロン「シドル」の災害情報(TC-2007-000208-BGD)。
http://www.reliefweb.int/rw/dbc.nsf/doc108?OpenForm&emid=TC-2007-000208-BGD
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