2011年3月11日(3.11)の東日本大震災からの復興は、宇宙からどのように見えるのでしょうか。地球の夜景データを使って探ってみましょう。各地の明かりの平均的な強さを1年単位で数値化したデータ。これを使って、東日本大震災前の2010年のデータと、東日本大震災後の2012年、2013年のデータを比べると、どのような違いが見えてくるでしょうか?
特に注目するのは、震災後に暗くなったままの地域です。これらの地域は、復興が進まず、明かりが戻って来ていない地域に対応すると考えられ、本サイトではこれを「Dark Zone(ダークゾーン)」と名付けました。以下の地図ではDark Zoneを可視化し、東日本大震災からの復興を物語るデータを描き出してみたいと思います。
場所 | レイヤ |
初期表示データを2013年版Dark Zone地図に差し替えました。レイヤで「Dark Zone (2012)」をクリックすると2012年版に切り替わりますので、2012年と2013年を切り替えながら、Dark Zoneの変化を見てください。
Dark Zoneが小さくなることは、そこが徐々に明るくなってきたことを意味します。このDark Zoneが完全に消えた時が復興の時、と言ってもよいかもしれません。そこで色々な地域を見てみると、どの地域でも2012年に比べて2013年の方が、Dark Zoneが小さくなったことがわかります。これは、2012年は暗かった地域にも、2013年は灯りがつきはじめたことを意味します。例えば南相馬市は、Dark Zoneがかなり小さくなりました。
とはいえ、福島第一原発付近のDark Zoneは依然として大きなものです。このDark Zoneが見えなくなるには、何十年もの年月が必要になるかもしれません。かつてそこに存在した生活空間に思いを馳せながら、この地図を眺めてみて下さい。
福島第一原発の周辺には、最大のDark Zoneが広がっています。南から富岡、大熊、双葉、浪江、小高と5つの塊が見え、さらにその少し北には南相馬があります。そこからさらに北に進むと、山元から亘理にかけて、もう一つの大きなDark Zoneが広がっています。この付近は、津波が陸地の奥深くまで侵入した地域です。
その北側については、仙台から石巻にかけて、あまり大きなDark Zoneは見られません。その理由は、津波被災地域の近くに大きな市街地や大型施設が存在するため、そこからの明かりが漏れ広がっていることにあると考えられます。このことは、レイヤを2010年または2012年の地球の夜景データに切り替えることで、確認することができます。
さらに三陸海岸を北にさかのぼっていくと、規模は異なりますがそれぞれの津波被災地ごとにDark Zoneが広がっています。中でもDark Zoneが大きいのが陸前高田で、志津川もかなり明瞭に見えています。それに加え、釜石から鵜住居にかけての地区、山田もそれなりに明瞭に見えます。一方、宮古はややぼやけており、気仙沼や大船渡はさらに不明瞭な印象を受けます。
これらの状況が、それぞれの町の復興状況に対応しているのか(復興が進めばDark Zoneは消えます)、あるいはその町特有の明るさの分布や地形、被災地区の形状などに対応しているのかは、現時点ではよくわかりません。もう少し調べる必要があります。
Dark Zoneに明るさを取り戻すことが、復興の一つのしるしです。まだまだ道のりは長いようですが、再び明るくなる日が早くやってくることを、願わずにはいられません。
Google Maps版と同じ画像を、Google Earth等のジオブラウザで閲覧するためのKMLを提供します。