1. 概要

データ統合・解析システム (DIAS)とは、地球に関する膨大なデータを収集、蓄積、統合、解析するとともに、データを地球規模の環境問題や大規模自然災害等に対する危機管理に有益な情報へと変換することを目的とするプロジェクト。全球地球観測システムGEOSS(Global Earth Observation System of Systems)の構築に貢献するものとして、国家基幹技術「海洋地球観測探査システム」の一部として進められている。

2. サブプロジェクト

国立情報学研究所は以下の3つのサブプロジェクトを担当している。

温暖化予測データの事例解析(東大地球観測データ統融合連携研究機構との共同研究)

地球温暖化によって顕著な気象現象はどう変わるのか?例えば台風はどう変わるのか、梅雨はどう変わるのか?これらを調べるためには、過去の気象データ(再解析データ)と、未来の気象データ(温暖化予測データ)とを比較して、変化を定量的に検証する必要があり、そのための画像解析やデータマイニングの手法を研究する。

市民参加型生物多様性モニタリング(東大農学部との共同研究)

日本には世界各地から外来種が侵入しており、在来種を守り生態系を保全するためには外来種を防除する必要がある。そのための市民参加型モニタリングに対して、ウェブサイトを用いた即時的な情報共有という面から活動を促進することを目的とする。本研究では特に、環境省が特定外来生物に指定したセイヨウオオマルハナバチ(学名:Bombus terrestris)を防除する活動を支援する。

フィールドサーバを用いた農業モニタリング(東大農学部・中央農業総合研究センターとの共同研究)

農業では過去の経験が重要な役割を果たすが、今後の農業の発展のためには、その経験を他者と共有して活かすための情報システムが必要である。そこで農場の状態を各種センサやカメラを用いて常時監視・データベース化し、農場での作業履歴や天候による影響なども網羅的にデータ解析・画像解析することで、適応的な管理や収量の増加などにつなげていくことを目指す。

その他、農業に関しては、しゅがなびプロジェクトも進めている。

3. 参考文献(全リスト

  1. Asanobu KITAMOTO, Miri NAKAHARA, Izumi WASHITANI, Taku KADOYA, Masaki YASUKAWA, Masaru KITSUREGAWA, "Information Visualization and Organization for Participatory Monitoring of Invasive Alien Species", Proceedings of the 20th International Workshop on Database and Expert Systems Applications (DEXA) / 1st International Workshop on Database Challenges in Biodiversity Informatics, Tjoa, A.M., and Wagner, R.R. (編), pp. 345-349, IEEE, doi:10.1109/DEXA.2009.85, 2009年9月 (in English) [ 概要 ]
  2. 北本 朝展, Laure FRACHET, Mark MATEO, 溝口 勝, 木浦 卓治, 二宮 正士, 深津 時広, 平藤 雅之, 鳥谷 均, 安川 雅紀, 絹谷 弘子, 喜連川 優, "農場環境センシングとe-agriculture", 情報とシステム2008, 2008年11月 [ 概要 ]
  3. 安川 雅紀, 絹谷 弘子, 喜連川 優, 北本 朝展, 溝口 勝, 木浦 卓治, 二宮 正士, 鳥谷 均, "Field Server データビューワの試作", 電子情報通信学会第19回データ工学ワークショップ (DEWS2008), No. B1-5, 2008年3月 [ Paper ]