コヒーレント光通信や光交換などの次世代光システムでは、広帯域波長可変機能を有する単一モード半導体レーザが必須である。従来モノリシック波長可変レーザとしては、DBR (Distributed Bragg Reflector)レーザ、TTG (Tunable Twin Guide)レーザ、多電極 DFB (Distributed Feedback)レーザなどが提案されてきた。その中で、DFBレーザはスペクトル線幅や高速スイッチング動作の点で優れた特性を示すが、従来の構造ではDBRレーザなどと比較して波長可変範囲が狭く、この点を改善することが必要である。今回この実験では、傾斜周期回折格子波長可変(Chirped Grating Tunable; CGT)-DFBという新しいレーザ構造を備えた素子の試作を行なった。すなわち、従来のfree carrier plasma効果による波長可変機構に加え、さらにchirped gratingを導入し構造の面からも波長変化を助長することで、DFBレーザの波長可変範囲をより広帯域化するのがねらいである。その他にもいくつかの有効な波長可変機構を採用し、受動導波路制御型のレーザに代わる狭線幅、広帯域波長可変半導体レーザの実現を目指す。
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author = {北本 朝展},
title = {傾斜周期回折格子波長可変半導体DFBレーザの試作},
school = {東京大学工学部電子工学科},
year = {1992},
month = {3},
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