2011年3月の東日本大震災以来、ビッグデータが防災に有用であるとの認識が高まってきた。筆者にとって、ビッグデータ防災の究極的な目標とは、すべての人が自分にとって重要な情報を適切な時に活用できる災害メディアの構築にある。そこで、気象データや地震データ等の自然災害データを対象とし、ビッグデータを活用したメディアに必要となる収集・解析・分配・受容に関する個別課題とその統合の研究に取り組んできた。こうしたメディアを実現できれば、近年の多くの災害で見られる「多すぎる情報に担当者が対応できない」問題に対し、人工知能による自動化という解決策を提供できる可能性がある。とはいえ、防災の目的が「人間の行動を促すことで命を救う」ことにある以上、人間を無視したビッグデータ防災を推進しても意味がない。ゆえに本講演は、パターン認識分野に関わるテーマも含めた過去の研究成果とその位置付けを概観するとともに、今後の展望として人間と機械の役割分担という課題も論じてみたい。
@InProceedings{ k:prmu16,
author = {北本 朝展},
title = {ビッグデータ防災、そして人間と機械の役割},
booktitle = {電子情報通信学会技術報告},
volume = {115},
number = {456},
pages = {131-131},
year = 2016,
month = 2,
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