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メモリープラットフォーム(Memory Platform) |
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1. 概要
メモリープラットフォームとは日本語に強いて訳せば「記憶のプラットフォーム」であるが、これには2つの視点がある。
第一の視点は、コミュニティにおける個人的記憶や集合的記憶を扱うための情報プラットフォームである。特に、写真や地図を使った記憶の共有や、災害の前後の記憶の共有などを主に対象とする。記憶を共有するためには、まず記憶を収集して保存する研究が必要である。次に、その記憶を人々が思い出し使っていくためには、記憶の比較やプレゼンテーションに関する研究が必要である。これはデジタルヒューマニティーズの研究にも関連し、永続的な記憶の共有を実現する新しいプラットフォームへの道を開くことが第一の目標である。
第二の視点は、ミュージアム(museum)、ライブラリー(library)、アーカイブ(archive)を統合した概念であるmemory institution(記憶の組織)のための情報プラットフォームである。MLAとも呼ばれるこれらの組織は、それぞれ異なる歴史と目的を有しているが、これらの共通性を「メモリー」という観点から取り出すことで、コミュニティにおける知識や記憶の伝承という共通の課題を解いていこうという考え方である。このような考え方には共通性を単純化しすぎとの批判はある。しかし似たようなミッションを持つ制度の共通性を取り出し、デジタルアーカイブを越える新しい情報プラットフォームへの道を開くことが第二の目標である。
本研究で扱うメモリープラットフォームは、これら2つの視点を兼ね備えたものである。つまり、一方ではコミュニティにおける記憶の問題を扱いつつ、同時にそれをコミュニティで共有するための方法論としてMLAを融合した新しい方法を探ることを目指す。
メモリープラットフォームは、現在は人文学オープンデータ共同利用センターのプロジェクトとして開発を進めている。
2. メモリーを主題とするウェブサイト
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311メモリーズ - 東日本大震災を回想する、静かに動く年表
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伊勢湾台風メモリーズ2009 - 高潮を実寸大でプロジェクションするデータ体感空間
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デジタル台風:100年天気図データベース - 過去の天気図アーカイブと日本の気象観測の歴史
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イラン・バムの城塞:地震を越えて残す記録
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メモリーハンティング(メモハン) - 記憶の場所を探して記録するモバイルアプリ
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メモリーグラフ - 同一構図撮影を支援するカメラアプリ
災害データのアーカイブについては、デジタル台風や東日本大震災デジタルアーカイブでも進めている。
3.
参考文献(全リスト)
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Asanobu KITAMOTO,
"Memory Hunting: A Mobile App for Collecting the Location Metadata of Old Photographs",
Fourth Annual Conference of the Japanese Association for Digital Humanities (JADH2014),
pp. 42-43, 2014年9月
(in English)
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概要
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北本 朝展,
"デジタル人文学:コンテンツの「解釈」を重視したメディア技術の展開",
精密工学会 画像応用技術専門委員会 第5回定例研究会「クリエイティブ・コンテンツ:ファッション,伝統工芸,観光・メディア」,
pp. 1-10, 2015年1月
(招待)
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概要
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Paper
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北本 朝展,
"メモリーハンティング:アクティブ・ファインダーに基づく新しい写真文化の創生",
国立国会図書館 意見聴取会, 2015年3月
(招待)
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概要
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Asanobu KITAMOTO,
"MemoryHunt: A Mobile App with an Active Viewfinder for Crowdsourced Annotation through the Re-experience of the Photographer",
Fifth Annual Conference of the Japanese Association for Digital Humanities (JADH2015),
2015年9月
(in English)
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概要
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北本 朝展,
"古写真の撮影者になりきるアプリ メモリーハンティング(メモハン)",
ジオメディアサミット大阪2015, 2015年9月
(招待)
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概要
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北本 朝展,
"メモリーハンティング(メモハン):写真と時間と人の新たな関係を見出すモバイルアプリ",
長崎大学附属図書館交流会, 2016年2月
(招待)
[
概要
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Asanobu KITAMOTO,
"Memory Platform for Disasters - Raising Awareness to Typhoon and Earthquake Disasters",
International Workshop "Toward Building Regional Platform for Disaster Risk Reduction in Asia", 2016年7月
(in English)
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概要
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北本 朝展,
"メモリーグラフ:記憶を重ねる新しい写真術によるアーカイブ活動の可能性",
FOSS4G 2016 TOKYO, 2016年11月
(招待)
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概要
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Asanobu KITAMOTO,
"MemoryGraph: Digital Critique of Old Photographs Using a Mobile App that Enhances the Interpretation of Landscape",
Digital Humanities 2017,
2017年8月
(in English)
[
概要
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北本 朝展,
"記憶を重ねる新しい写真術「メモリーグラフ」による古写真の共創型研究",
長崎をめぐる初期写真シンポジウム~オリジナルとデジタルアーカイブ~, 2018年4月
(招待)
[
概要
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北本 朝展,
"災害の非可逆性とアーカイブの精神―デジタル台風・東日本大震災デジタルアーカイブ・メモリーグラフの教訓",
デジタルアーカイブ・ベーシックス2 災害記録を未来に活かす,
今村文彦 監修/鈴木親彦 責任編集 (編), pp. 169-197, 勉誠出版, ISBN 978-4-585-20282-0, 2019年8月
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概要
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