1. 概要

衛星画像の雲のように複雑な形状をした物体を表現するためのアルゴリズムを 研究する。現在のところは、形状分解という手法を応用し、複雑な形状をもつ 物体の領域を楕円(超楕円)の集合として表現している。

2. 超楕円による形状分解を用いた複雑形状の表現

物体の形状を記述するための方法に関する研究は、画像処理の長年の課題の一 つとして多くの研究がなされてきた。特に複雑な方法を表現するモデルには、 大きく分けて二つの方法が考えられる。

  1. 輪郭に基づく方法 物体の輪郭形状から特徴を抽出して コード化する方法であり、チェーンコードやフーリエ記述子・多角形近似など の基本的な方法から、もっと複雑な方法までいろいろな方法が開発されている。
  2. 領域に基づく方法 物体の領域形状に基づいた方法であ り、直接的に領域の形状を表現する形状分解などの方法や、領域の骨格を表現 する骨格線の考え方など、種々の方法がある。

本研究では領域に基づく方法の一つである「形状分解」の方法を用いる。形状 分解とは、物体の領域を複数の基本的図形の集合として表現する方法であり、 その基本的図形としては円や四角形などが用いられてきた。それらに加えて種々 の図形を導入できる方法を提案するとともに、特に記述能力の高い超楕円を用 いた実験を行う。

さらに、これらに変形モデル(deformable model)の考え方を導入する。このモ デルは近年になって非常に幅広く用いられるようになった考え方であり、初期 値を設定した後にある種の最適化計算によって局所最適解を探索するという、 エネルギー最小化原理に基づく方法である。本研究でも、まず基本的図形の当 てはまりの良さを表現する「エネルギー」を定義し、超楕円のパラメータを変 化させながら最適な適合を探索する。この計算を繰り返すことによって、複雑 な図形も基本的図形の集合として表現することが可能となる。

しかしこの計算は、繰り返し計算を多量に含むために非常に負荷が高くなって しまうため、現状のアルゴリズムのままでは応用範囲が狭くなってしまう。繰 り返し計算を減少させるための方法や、新しいタイプの基本的図形を用いるな どの工夫が必要となるだろう。

3. 関連するトピック

形状の表現方法

形状の表現方法はもちろん上に述べた方法ばかりではなく、他にも多くの方法が提案されている。いくつか興味のある方向性は、

  1. 形状変換 この用語は一般的な用語ではないが、古くからあるハフ変換や、幾何学的ハッシュなどの考え方も非常に興味深い。形状をそのまま扱うのではなく別の空間に写像して扱った方があるいは便利かもしれない。

4. 参考文献(全リスト

  1. 北本 朝展, 小野 欽司, "台風画像コレクションの構築および台風解析への応用", NII Journal, No. 1, pp. 7-22, 2000年12月 [ 概要 ] [ PDF ]
  2. 北本 朝展, "台風雲パターンの衛星時系列画像を対象とした楕円形状分解手法", 電子情報通信学会 2000年ソサイエティ大会, Vol. D-12-2, pp. 189, 2000年09月 [ 概要 ] [ PDF ]
  3. 北本 朝展, "領域・空間情報を表現するグラフ構造を用いた類似画像検索", 東京大学工学系研究科電子工学専攻博士論文, 1997年03月 [ 概要 ]
  4. Asanobu KITAMOTO, Mikio TAKAGI, "Retrieval of Satellite Cloud Imagery Based on Subjective Similarity", Proceedings of the 9th Scandinavian Conference on Image Analysis (SCIA'95), pp. 449-456, 1995年06月 (in English) [ 概要 ] [ PDF ]