エレクトリカル・ジャパン(Electrical Japan)は、電力供給(発電所マップ)と電力消費(夜景マップ)の「見える化」とシミュレーションを通して、東日本大震災後の日本の電力問題を考えるためのサイトです。

日本の発電所の歴史について

エレクトリカル・ジャパン(Electrical Japan)(以下本サイト)で構築した発電所データベースに基づく日本の発電所の歴史について、以下に注意点などをまとめます。

特に重要な注意点です。初期に水力発電所しか表示されないのは、火力発電所が存在しなかったからではなく、当時は存在した火力発電所が現在は廃止されているためです。発電事業が始まった当初から現在までずっと火力発電は利用されつづけていますが、以下に示すように火力発電と水力発電の間では、過去に2回の主役交代が起こっています。

時期 年代 水力と火力の関係 発電技術・時代背景 電力需要
第一期 1887年〜1911年 水力<火力(火主水従) 小規模な火力発電所、都市ごとの分散型電力網 電灯
第二期 1912年〜1962年 水力>火力(水主火従) 水力発電所の大型化、遠距離送電による集中型の電力網 工場電化
第三期 1963年〜現在 水力<火力(火主水従) 石油火力発電所の大型化、LNG火力・石炭火力の拡大 産業用電力、家庭電化

エレクトリカル・ジャパンで表示している火力発電所は、ほとんどが「第三期」に建設されたもので、それ以前の火力発電所はデータベースに入っていません。そのような歴史的な発電所データを収集することも興味深い課題です。情報をお寄せください

注意点

なお以下では統計数値や発電所などに関して、電気事業連合会が提供する電気の歴史(日本の電気事業と社会)を参考にしています。

水力発電所の歴史に関する注意点

水力発電の最初の発電所は、日本の水力発電の歴史(水力ドットコム)によると、1888年に完成した「三居沢発電所」(東北電力)(水力ドットコム)だそうです。エレクトリカル・ジャパンにもこの発電所は登録されていますが、運転開始日は1910年7月となっています(RPS法認定設備データによる)。また電力事業用として日本初の「蹴上発電所」(関西電力)(水力ドットコム)は1892年に事業認可を受けたようですが(当時の出力160kW)、エレクトリカル・ジャパンでは全部が運転開始した1897年5月を採用しています(水力発電所データベースによる)。その結果、エレクトリカル・ジャパンで最も古い水力発電所は、1893年10月に運転開始した「日光第二発電所」(東京電力)となります。

なお、水力発電所は最近になっても増加を続けていますが、その主力は次第に小水力発電所に移ってきています。大規模なダム建設が可能な場所は少なくなりましたし、大規模な水路を作ることも水利権の問題で困難さが増しています。一方で小水力発電は出力こそ小さいものの、ちょっとした水路にも設置でき、再生可能エネルギーの中でもコンパクトな施設で発電できます。このタイプの水力発電所が今後も増加すると考えられます。

火力発電所の歴史に関する注意点

火力発電の最初の発電所は1887年に日本橋茅場町に設置された25kWの発電所だそうです。火力発電所はもともと消費地の近くに立地可能な発電方式ですので、初期の頃は都市部の小規模な火力発電所が電力を供給していましたが、その後は火力から水力へのシフト(1912年には火力発電229MW<水力発電233MW)が進みました。当時に存在した火力発電所はその後の都市化の進展などもあって徐々に廃止されましたが、エレクトリカル・ジャパンでは廃止された発電所を登録していないため、この時期の火力発電所の歴史を追うことはできません。廃止された火力発電所には、例えば浅草火力発電所200kWや千住火力発電所77.5MWなどがあります。

日本の発電所の歴史を見ると、1950年代までは水力発電所しか表示されていませんが、これは火力発電所が存在しなかったためではなく、当時から今まで残っているのが水力発電所しかないためだ、ということに注意して下さい。例えば1896年の段階では火力発電所が23ヶ所、水力発電所が7ヶ所、水・火力併用発電所が3ヶ所あったそうで、数としては火力発電所の方が多いわけですが、エレクトリカル・ジャパンに登録されている1896年以前の発電所は後述する「日光第二発電所」1ヶ所のみで、その他の発電所の大部分は老朽化により既に廃止されていると考えられます。

エレクトリカル・ジャパンで主に扱っているのは、高度経済成長時代において水力から火力へのシフト(1963年には火力発電9750MW>水力発電9440MW)が始まって以降に建設された、大規模な火力発電所です。大規模火力発電所の初期の例には三重火力発電所(1955年)や千葉火力発電所(1957年)などがありますが、当時の設備はすでに廃止されています。その結果、離島の火力発電所を除けば、エレクトリカル・ジャパンで最も古い火力発電所は、1959年8月に運転開始した新居浜西火力発電所(住友共同電力株式会社)となります(国土交通省のデータによる)。なお離島も含めた最も古い火力発電所は、1953年3月に運転開始した佐渡火力発電所(東北電力)(現在は休止中)です(電力発電所設備総覧による)。

なお、消費地に近い場所に立地可能な火力発電所の特性が、発電の排熱を利用することでエネルギー効率を向上させるコージェネレーション(熱電併給)の仕組みで近年は再び注目を集めています。また自家発電設備もほとんどは火力発電であり、東日本大震災後の電力不足を回避する中で注目を集めました。また大規模な火力発電所の方でも、タービンとボイラーを併用するコンバインドサイクル発電方式を取り入れることで大幅に効率を高めています。こうしたタイプの火力発電所が今後も増加すると考えられます。

原子力発電の歴史に関する注意点

原子力発電の最初の商用発電所は1966年7月に運転を開始した東海発電所125MW(日本原子力発電)です。ただしこの発電所は1998年3月に運転を終了し、現在は廃炉作業に入っておりますので、エレクトリカル・ジャパンのデータベースには登録されていません。なお同じ敷地にある東海第二発電所(日本原子力発電)は登録されています。その結果、エレクトリカル・ジャパンで最も古い原子力発電所は、1970年3月に運転開始(1号機)した敦賀発電所(日本原子力発電)となります。

なお福島第一原子力発電所事故の影響により、日本国内における原子力発電の将来は非常に不透明なものになっています。

再生可能エネルギー発電(太陽光発電、風力発電、バイオマス発電等)の歴史に関する注意点

太陽光発電風力発電に関しては、運転開始日はほとんどRPS法認定設備データから抜き出したものです。これはおそらく申請時のデータに基づくものでしょうから、統一的な基準に沿ったものとは必ずしも言えないと思います。実際に水力発電所については他の資料との相違が見られます。しかし他に確かめようもありませんので、ここでは資料の時期をそのまま利用しています。

なおバイオマス発電に関しては、既存の火力発電所において新たにバイオマス燃料による発電を開始した発電所では、バイオマス発電の運転開始日ではなく火力発電の運転開始日を登録している場合があります。その場合は、運転開始当初からバイオマス発電をしていたことにはなりませんので、ご注意下さい。

電力供給・消費に関するデータ

電力供給(発電所マップ):日本全国の発電所データベースを独自に構築しました。インターネット上では日本最大規模のデータベースです。

電力消費(夜景マップ):DMSP衛星による地球の夜景データを用いて、宇宙から見た地球の夜景を可視化しました。ここでは2009年のデータ(F162009)を利用しています。

最新の電力供給・消費データについては電力使用状況をご覧下さい。

電力供給・消費に関する各種統計データについては電力統計見える化をご覧下さい。

サイトに関する情報

更新情報(登録発電所数3045 /最終更新2012年05月17日)

ツイッター:@electricaljapan

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