| ||||||||
| ||||||||
|
リモートセンシング(遠隔探査)とは、センサと対象物とが遠く離れた観測方法を指す言葉である.一般的には地球(対象物)の状態を知るために,航空機(数百メートル〜数キロメートル上空)や衛星(数百キロメートル〜数万キロメートル上空)にセンサを搭載して観測をおこなう方法を指す.地球の「いま」を知るために不可欠の技術であるリモートセンシングについて研究を進める。
具体的には、地球を捉えた視覚的データである衛星観測データ(画像)を対象とした、超大規模データコレクションの蓄積、検索、データマイニング、情報視覚化を研究テーマとする。また、リモートセンシングデータを国際的な規模で交換できる環境を実現するために、タイのアジア工科大学と国立情報学研究所との間で、準リアルタイム大規模衛星データ交換のための実証実験を進めている。⇒ 研究紹介(NIIニュースより)。
テレビ天気予報でおなじみの静止気象衛星画像は,地球大気という対象物の状態を知るために,赤道上空約35,800キロメートルと離れた位置にある衛星センサによるリモートセンシングの一例である.このような宇宙からの壮大な観測網は宇宙への衛星打ち上げが可能となって初めて実現したものであるため,1960年代には宇宙開発への熱狂とともにリモートセンシングの技術開発も精力的に進められた.そして1970年代に入るとランドサットなど現在へと続く代表的な衛星シリーズの打ち上げが始まった(初代の気象衛星「ひまわり」も1977年打ち上げである).1990年以降は,軍事技術の民生利用によって高度な技術が商用でも利用可能になるとともに,インターネット経由のデータ配布や画像処理済みのデータ販売が浸透したこともあり,リモートセンシング画像を手軽に利用するための環境が整備されつつあるのが現状である.
さてリモートセンシングの利用は多岐にわたるが,特に重要なものとして「地球環境の監視」,例えば森林面積や海水温・海氷などの時間変化から地球温暖化の兆候を監視する,という用途がある.このような用途には、以下のようなリモートセンシングの特徴が活用されている.
一方でリモートセンシングの利用は、経済や生活に密着した分野にも広がっている.例えば、精密農業や災害情報収集、あるいは地理情報システムなどの分野においてリモートセンシングの利用による業務の効率化・高精度化が進んでいる。
研究の主な関心は、地球に関する貴重な情報を送りつづける衛星画像を、ただ死蔵するだけではなく研究者や一般の人々が有効に活用できるようにするためには、どのような情報学的方法論が有効かを考察することにある。そこで気象衛星画像を題材として、超大規模科学画像データベースを構築し、このデータベースという具体的な対象を通して得られた経験を、いかに理論的に深めていくかが研究の主な課題である。
気象衛星画像として主に用いるのは、赤道上に静止して観測を続ける静止気象衛星とよばれる種類の衛星である。この衛星は北極から南極までの観測をほぼ1時間に1回の間隔で繰り返すことが可能であり、地球規模から地域規模までの気象現象を継続的に追跡するという目的に適した特性を備えている。また、天気予報の基礎的データや、テレビ・メディアの天気予報素材としても、いまや不可欠の衛星データとなっている。
こうして毎日・毎時観測されたデータは、その時点での気象の把握には有効であるが、このような貴重なデータを使い捨てにするのは、科学的観点からは非常にもったいないことである。したがって、これらのデータを継続的に収集し、蓄積し、検索し、組織化するための方法論を構築することは、気象学の理解を深めるためにも重要な挑戦課題であると考える。本研究ではこのようなシステムを構築するための方法論を確立する。また、データが何か所にも分散して存在したり、データが意味する情報が専門家以外にはわかりにくかったりという、地球観測衛星データに典型的な問題をも解決するため、本研究では以下の課題を解決することを目標とする。
衛星画像を検索する際に必要となる画像内容を自動的に抽出しインデックスを構築しておくことで、データの取得日時などの単純なメタデータを用いた検索に加え、画像情報に基づく高度な検索が可能となる。
世界各地に分散する衛星受信センターをネットワークで結合することで、各地で受信した衛星データから自動的に巨大衛星データアーカイブを構築していくような、ネットワーキング技術が必要である。このようなアイデアは、現在「データグリッド (Data Grid)」というキーワードで注目を集めている。
衛星データは基本的には数字の羅列であり、その羅列だけからわかることは少ない。そこで生のデータから情報を抽出し、わかりやすく加工して提示するという技術が真に重要である。このような技術は、一般にビジュアライゼーションと呼ばれるが、最近では「ビジュアル・データマイニング」との言葉も生まれている。
リモートセンシングと地理情報学との融合には双方に利点があるため今後もこの方向性はますます進展していくと考えられる。その利点とは以下のようにまとめられる。
Landsat-7およびASTER衛星が撮影した美しい画像。
http://landsat.gsfc.nasa.gov/earthasart/
世界の地球観測衛星を網羅した解説。
http://www.restec.or.jp/databook/
|