エレクトリカル・ジャパン(Electrical Japan)は、電力供給(発電所マップ)と電力消費(夜景マップ)の「見える化」とシミュレーションを通して、東日本大震災後の日本の電力問題を考えるためのサイトです。
エレクトリカル・ジャパン(Electrical Japan)では、とかく難しい議論となりがちな電力問題に対して、データを「見える化」することで多くの人が問題を実感できるようにしたいと考えています。そして、電力問題をデータに基づいて議論するための環境を提供したいと思っています。すなわち、データを根拠とする議論のためのデータベースとプラットフォームを提供すること、そして開かれた政府(オープンガバメント)の実現に向けての試みを行うこと、が本サイトの目的です。そのためには、特定の意見に都合のよいデータをまとめるのではなく、いろいろな意見を比較して考えるための材料となるデータが必要になります。
福島第一原子力発電所事故以来、原発推進派と原発反対派(脱原発派)の間では激しい議論が巻き起こっていますが、何らかの根拠に基づかなければ、そうした議論も結局は徒労に終わってしまいます。過去何十年も続いてきた、不毛とも思える対立を再び繰り返すことになりかねません。また再生可能エネルギーに関してもいろいろな意見があり、データを根拠として議論しないと誤った結論に到達してしまうかもしれません。いずれにしろ今後をよりよい世界にしていくためには、心地よい言葉を散りばめたパフォーマンスではなく、データに基づく中身の濃い議論が必要であると考えます。
もちろんそのためには、根拠として使えるデータがより多く公表されることが重要です。この点については、政府を中心とする公的機関が、公共的なデータをどこまでオープンにするかが重要な問題となります。その最初の試みとして、リアルタイムの電力使用状況に関しては、節電要請(電力使用制限令)の影響もあってインターネット上に公開されるようになりました。ただしそれはまだ小さなステップです。もっと開かれた政府として、市民が参加しながら政策決定に関与していく基礎となる公共的なデータが、幅広く提供されるようになることを期待しています。
最後に発電所データベースについてでも述べたように、たとえネット上に公開されているデータであっても、それを使いやすく整理して、わかりやすく「見える化」することは、そう簡単なことではありません。本サイトとしては、この問題にあまりなじみのない方でも親しめるような「見える化」を進めることも重要な課題だと考えています。
本サイトの構想の出発点は、東日本大震災後の福島第一原発事故および計画停電です(参考:東日本大震災ニュース分析)。街が暗くなり、電車の本数が減り、そして電力問題が大きくクローズアップされる中で、私も何か出せるデータはないかと考えていました。そこで思い付いたのが、以前から公開していた夜の地球:DMSP衛星によるNighttime Lights of the Worldデータでした。これは、主に電力を使った夜間の明かりの分布(夜景マップ)を示すもので、衛星データの明るさの時間的変化から災害の影響を推測することにも使われています。このデータは電力問題のシンボルに使えるのではないか、というのが最初の発想でした。
まあ、似たようなことは他の人も考えるもので、大震災後に発行された電力問題に関する書籍を見ると、これと同じデータが複数の書籍の表紙デザインに使われています。ただし、従来公開していたデータは15年ほど前の古いデータだったため、これを機にデータを一新して新たに地図を作成し、夜の地球:DMSP衛星によるNighttime Lights Time Seriesデータ(1992年〜2009年:Google Maps版)として公開しました。
これだけでも「エネルギーを大切にしよう!」というメッセージは伝えられるかもしれません。しかしそれだけでは物足りないと感じました。大震災後の日本の電力問題は、単にみんなでエコな生活をしましょうという問題ではありません。産業をどうするのか、生活を支えるインフラをどうするのかなど、将来に向けて電力を安定的に供給するための方向性を議論するという、技術から政治までを巻き込む文明的な問題です。電力の消費に着目するだけでは不十分で、電力の供給も一体化した問題として見ていかねばならないのです。そのとき、電力の供給を担う発電所の分布を夜景マップに重ねればよいのではないか、というアイデアを思い付きました。これならば、電力の供給と消費を同時に見ることができるし、発電所と地形の関係や、供給地と消費地との位置関係なども明らかにすることができます。これでサイトのコンセプトは固まりました。
次にデザインです。上記の衛星画像は暗闇にともる明かりを示すものですので、必然的に「暗闇に浮かぶ明かり」というのがデザインの基本方針となります。そうすると発電所は、暗闇を彩る色々な大きさのカラフルな電球に見立てることができそうです。そして、できるだけたくさんの発電所をデータベース化することで、多数の発電所に彩られたカラフルな日本列島が暗闇に浮かびあがってくるのではないか。これが「エレクトリカル・パレード」ならぬ「エレクトリカル・ジャパン」の発想の原点となりました。
しかしこのような発想を出発点としたため、日本列島を美しく飾るためには、より多くの発電所をデータベースに登録しなければならなくなりました。本データベースでなぜこれだけ徹底的に多数の発電所を登録できたのかといえば、まさにこのコンセプトの力が働いたというのが正直な実感です。データベースを構築する過程で多くの困難があったにもかかわらず、最終的にはネット上で最大規模の網羅的な発電所データベースにまで到達できたのは、「日本列島を美しく電飾する」という発想が根本にあったからなのです。もしそれがなければ、ゴールに向けたモチベーションを維持することはできず、類似サイト(例えばGo 節電 プロジェクト - powered by Google)のように「主要な発電所のみ」で打ち切っていたのではないかという気がします。
電力供給(発電所マップ):日本全国の発電所データベースを独自に構築しました。インターネット上では日本最大規模のデータベースです。
電力消費(夜景マップ):DMSP衛星による地球の夜景データを用いて、宇宙から見た地球の夜景を可視化しました。ここでは2009年のデータ(F162009)を利用しています。
最新の電力供給・消費データについては電力使用状況をご覧下さい。
電力供給・消費に関する各種統計データについては電力統計見える化をご覧下さい。
更新情報(登録発電所数3045 /最終更新2012年05月17日)
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