1. 台風画像の類似画像検索

このサイトは、台風画像データベースとしての画像検索機能を重視しています。特に台風画像の類似性に基づく検索機能、すなわち台風の雲のパターンが似ている画像を検索する機能を特徴としています。例えば以下では、ランダムに検索キー画像を選んだ場合の、類似画像検索機能を試すことができます。

台風の発生に伴ってトップページには最新の台風画像が表示されるようになりますが、これは同時に類似画像を検索するための検索キー(クエリー)画像ともなっています。そして画像をクリックするごとに、類似画像を連続的に検索することが可能です。これは本サイトの画像検索エンジンが、検索キー画像と雲パターンが類似した過去の台風画像を上位表示した結果です。

なぜこのような機能が必要なのでしょうか? それを説明する前に、まずおさらいとして、現在の画像検索技術について、簡単にまとめてみましょう。大きく分類すると、以下の2つの方法があります。

  1. 画像につけたキーワードや関連する文章などを使って検索する方法。この方法は画像を検索してはいますが、使っている技術はテキスト検索に近いものです。Googleのイメージ検索など、現在実用的に使われているのはこの方法です。
  2. 画像にキーワードなどをつけなくても、画像自体に含まれる情報(パターンや色など)を使って検索する方法。この方法では、画像のパターンなど、キーワードにしにくい情報も検索することができます。

台風画像検索は、後者の方法、つまり雲のパターンという画像情報そのものを使った検索方法です。このような技術を画像内容検索といいます。それでは、なぜこのような機能が必要なのでしょうか? それは台風の雲パターンが実際にも重要な情報を含んでいる、ということがその理由です。

例えば、天気予報で伝えられる台風の中心気圧などは、実際に測定した値であることは少なく、ほとんどの場合は台風の雲パターンから推定した値なのです。考えてみれば、暴風の中を台風の中心に突っ込んでいって気圧を測定するなんて、あまりに危険ですよね。無人飛行機で測定する方法も考えられているのですが、まだ実用化されていません。そこで現段階では、宇宙から台風の全体を眺めることができる気象衛星画像を使って、雲の見え方から中心気圧を推定する方法が使われているのです。これをドボラック法(Dvorak Method)といいます。

この方法は、似たような雲パターンをもつ台風は、似たような強さだろう、という考えに基づいています。もちろんその判断手順は実際はもっと複雑で、しかも他の多くのデータも併用します。しかし基本的には、いろいろな台風の雲パターンを見比べながら、今の台風がどのくらいの強さなのだろうかということを、専門家が総合的に判断する手順が使われているのです。

この意味では、雲のパターンからダイレクトに検索できる画像データベースがあれば、いろいろと面白い活用や発見が可能なのではないかと考え、そのような観点からの研究を進めています。

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