1. 画像のカラー化

気象衛星画像は、もともとは白黒画像、つまり白黒写真のように濃淡の情報しかない画像です。しかし、それに加えて「色」という情報を活用するために、以下のような方法を用いて、白黒画像である気象衛星画像をカラー化しています。

背景画像をカラー画像とする方法

背景画像をカラー画像とし、それを覆う不透明物体として雲を描くことで、全体をカラー画像とする方法です。また、雲によって不透明度を変化させることで、雲の種類の違いを表現することも可能です。本ウェブサイトで使っているのはこの方法です。また、背景画像には、以下の2種類の画像を使い分けています。

  1. デジタル標高データ(GTOPO30)を用いた背景画像 デジタル標高データを用いて、土地の標高に対して色づけして作成する背景画像。いわゆる「地図の色」と同じで、地球の本当の色ではありません。地図と同様に、ある方向からの仮想的な照明を考えると、陰影をつけた立体的な表現も可能です。さらに照明の方向に、ある特定日時の太陽の方向を設定すれば、陰影の意味で正しい背景画像を作成することができます。
  2. トゥルーカラーデータ(Blue Marble)を用いた背景画像 Blue Marbleデータという、地球観測衛星で観測したデータを用いて「地球の本当の色」をできるだけ忠実に再現した背景画像。壁紙画像(地球/台風)アメダス画像はこの種の背景画像です(多少の加工あり)。デジタル標高データとは違い、この色は地球の本当の色に近いものですので、「宇宙からみた地球」に近い画像を作成することができます。

また、本ウェブサイトでは用いていませんが、その他によく使われる方法には、以下のようなものがあります。

マルチスペクトル観測を組合せる方法

気象衛星は、可視や赤外など、いくつかの波長帯(バンド)で観測する、 マルチスペクトル観測が一般的です。それぞれの画像は白黒画像ですが、個々のバンドあるいはその組合せに適当な色(RGB)を割り当てることで、カラー画像を生成することができます。この表現は、バンドによる画像の違いという情報を、色を使って目立たせることが目的です。必ずしも実際の色に近い画像ができるわけではありません。

温度に対応する擬似カラーを用いる方法

擬似カラーとは、数値に適当な色を割りあてる方法であり、目立たせたい情報に目立つ色を使うことにより、人間が直観的に把握しやすい画像を作成することができます。例えば雲の場合、温度が低い雲は一般によく発達した雲で大雨などへの警戒が必要なため、温度が低い領域に赤や紫などの目立つ色を使う、といったケースが見られます。この方式は日本ではあまり天気予報に使われていませんが、アメリカなどでは幅広く使われています。例えば台風画像データベースで提供しているカラー強調画像(BD強調およびNHC強調)は、実際に米国等の気象機関で用いられている変換式を用いて生成しています。