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私は戦後関東地方を襲ったキャサリン台風などを知る年代の者です。
今回アメリカのハリケーン・グスタフの来襲がニュースになっておりますが、そのグスタフという男性名にアレ!とおもいました。というのは戦後、台風にアメリカ(占領下だから)の女性名が付く理由として北半球は女性名、南半球は男性名と聞かされたからです。
今回のグスタフで、これは赤道より下(南)で発生したのかな?変だな?とおもい検索して貴ページにたどりつきました。最近は男性名、女性名が交互に付けられるという記事で(少々)納得しました。
ありがとうございました。
貴重なメッセージをありがとうございます。台風にアメリカ名がついていた時代を実際に体験していらっしゃる方にとっては、ハリケーンの名前というのも、なんとなく親しみを感じるものなのではないでしょうか。ただし、日本でも話題になったハリケーン「カトリーナ」はたまたま女性名でしたから、今回のハリケーン「グスタフ」のように注意を惹かなかったのかもしれません。
さて、検索エンジンからたどりついたページとは、おそらく台風の名前のページでしょうか。このページにまとめましたように、確かに大西洋のハリケーンの名前は最初は女性名ばかりでしたが、最近は女性名と男性名を交互に使う方式に変わっています。では他の地域はどうだったのでしょうか。南半球は男性名を使っていたのかどうかを少し調べてみましたが、残念ながらわかりませんでした。
一説によると、英語でハリケーンのような「自然のもの」を代名詞で指す時は「She」を使うので、ハリケーンには女性名を使うことにしたそうです。まあこれは、なんとなく後から取ってつけたような説で、台風の名前で紹介したように「奥さんの名前をつけた」という説の方がずっと面白い(?)です。ただ英語の語感としては女性名の方がしっくりくるという面は確かにあるでしょうし、他の地域でも「先進的な」大西洋ハリケーンの方法を真似て、女性名を使っていた可能性の方が高いと私は考えます。例えば南半球、オーストラリア周辺のサイクロンを調べてみますと、1962年シーズン以前のサイクロンは名無し、1963年シーズンのサイクロン(実質的には1964年)から名前がついていますが、すべて女性名のようです。
ということで、半球ごとに男性名と女性名を使い分けていたという説の真偽を確かめることはできませんでした。なお現在は日本の台風にもアジア名という名前がついていますが、これは人名ではありませんので性別の違いもありません。
(2008-09-07 追記)m.terraさんに追加で情報を頂きました。日本で台風に女性名が使われるようになった後、日本に大きな影響を与えた最初の台風はカスリーン台風ですが、その台風の名前に関する以下のような新聞記事があるそうです(昭和22年9月17日 中部日本新聞)。
女性の名前と台風[渉外局発表] 台風になぜ女の名をつけるかについて極東海軍司令部一関係者は「台風はとても予測しがたいから」だと語っている。問題のカサリン台風は最も神経質なものでマリアナ群島で発生してから曲がったり速くなったり遅くなったり移動するにつれて無線電信係を追いかけごっこで夢中にしてしまった
カスリーン台風が日本に接近したのは昭和22年9月15日から16日(Wikipedia)、そして新聞記事が9月17日ですので、この記事は台風情報で使われた「カスリーン(カサリン)」という耳馴れない名前に対する読者からの質問に答える記事ではないかと思われます。またこの記事では、台風に女性名を使う理由として、「予測しがたい」、「追いかけごっこで夢中」など、台風の性質に男性から見た女性の性質を重ね合わせたためであることがわかります。
(2010-08-19 追記) Tropical Cyclone Naming (WMO)によると、1900年代半ばからは大西洋の熱帯低気圧に女性の名前を使う習慣が始まり、1900年代の終わりには南半球の熱帯低気圧に男性の名前を使う習慣が始まったと書いてあります。したがってm.terraさんの記憶は正しく、北半球は女性名、南半球は男性名を使っていた時代が確かにあるようです。
ただし1950年代以降、台風やハリケーンの名前リストが整備された後は女性の名前が主に使われるようになったため、男性名が使われていた時代の記録はこのサイトには残っていません。
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