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台風の強さの紹介ページに、最大風速(時速km/h)の値が記載されておりますが、間違っておられませんか?
ktに対して風速km/hは約半分のはずですよね。逆に2倍の風速km/hが記載されておりますので、ご確認をお願いいたします。
ご質問ありがとうございます。これは台風の強さと大きさ - 気圧と風速の単位のページの記述に関する質問だと思いますので、そのつもりでお答えします。
気象観測ではノット(knot / nt)という日常では見慣れない単位を使いますので、我々が実感するためにはこれを日常よく使う単位に変換する必要があります。その公式は以下のようになっています。
時速:1kt = 1.852km/h秒速:1kt = 0.5144m/s
つまり、ノットを時速に直すときはだいたい2倍、ノットを秒速に直すときはだいたい半分、ということになります。
さて、お問い合わせのページでは、これまでノットの換算は時速のみを掲載していました。しかしこれが混乱を招いた原因かもしれません。というのは、日本では、風速には通常は秒速を利用し、時速を使う場合は少ないからです。例えば気象庁 | 台風の大きさと強さでは、秒速を主としてノットを併記する形にしていますが、これが通常の説明方法といえます。とすると、通常は秒速=ノットの半分、なのにこのページはノットの倍になっている、なぜ?という違和感が、ご質問に結びついたのではないかと思います。ですので、ウェブページの記述は間違いではないのですが、より使いやすくするために、秒速も併記する形に変更しました。
ではなぜ上記のページでは、あえて気象庁のページとは異なる時速表記を使ったのか。実はこれは偶然ではなく意図的なものです。確かに風速は通常なら秒速で表現します。しかし我々の日常生活という視点から見てみると、速度の単位としては、我々は秒速よりも時速の方にはるかに馴染んでいるわけです。例えば自動車の速度メーターは秒速ではなく時速です。ならば風速も時速で表記してみてはどうでしょうか。
この問題を考えるきっかけとなったのが、2003年の台風14号でした。この時に宮古島で観測した最大瞬間風速74.1m/sというのは、いったいどのくらいすごい風なのか。私自身は「74.1m/s」という数字だけではピンと来ませんでした。しかしそれを時速267km/hと換算してみたとき、ああこれは新幹線なんだ、という形で、この暴風の強さを初めて実感を伴って理解できたのです。宮古島に吹いた暴風は、新幹線の窓から顔を出した時に感じる風ということですから、ものすごい風であることを感じられるのではないでしょうか(実際には体験できませんが。。)。とすると、風速の時速表記にもそれなりの妥当性があると言えます。「猛烈な台風」というのは「54m/s以上」ではなく「194km/h以上」というように。
そして他の国の状況と比較してみると、この考えにはそれなりの妥当性があることがわかります。例えば米国では風速の強さにMPH (mile per hour)をよく使います。単位はキロメートルとマイルと異なりますが、いずれにしろ時速であり、日本の秒速方式とは異なります。車社会の米国では、MPHという単位が非常に理解しやすい数字というのが背景にあるかもしれません。
どちらを使っても意味していることは同じなので、あとは人間(ユーザ)の理解しやすさが重要です。もちろん、気象情報に限定すれば我々は秒速の方に既に馴染んでいるので、一概に時速の方がよいとは言えないのですが、こんなささいな問題にも、気象情報を伝える上での工夫の余地が隠れているような気がします。
(追記:2009-09-03)この質問にはコメントがあります。
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