| ||||||||||
| ||||||||||
|
日本の予報は範囲の円が大きくまた目の通過予想ラインがないので、大雑把な感じが強い。
重要な点のご指摘をありがとうございます。この点は実は、気象専門家の間でもよく話題になる点なのです。
ただしその場合の議論とは、これとは逆の方向の議論、すなわち「目の通過予想ラインをどうやって消せばよいか」という議論が中心です。というのも、予報円の中心は台風の中心が通過しやすい点を意味するわけではなく、台風の中心は予報円のどこを通過してもよいというのが正しい理解だからです。ですので、まさにご指摘のような「誤解」を避けるために、目の通過予想ラインのようなものをできるだけ「追放」しようというのが、日本の気象庁や気象専門家の方針と言えます(私がそれに同意しているわけではありません)。それを「大雑把」と捉える意見もあるかもしれませんが、そうした意見が出ることも想定した上で、あえてそうしているわけです。
とはいえ、この考え方が効果を発揮しているかといえば、同様の質問が多いことから考えても疑問があります。円には中心があり、そこを台風が通過する可能性が高いと考えること自体、直感としては避けがたいことのように感じるからです。また台風の進路が定まらずに複数の予報円が重なる場合は、円同士の関係を示すわかりやすい手がかりがないと、図を読み取りづらくなってしまいます。そこで台風進路予想図(Google Maps/グーグルマップ版)では予報円の中心を結ぶ線を描いていますが、これはあくまで予報円どうしの関係を示すものとして描いており、台風の中心が通過する予想経路を示すつもりではありません。
台風の予報円には、これに限らず多くの問題や誤解が存在することがわかっており、その一部については最近の台風201607号のウェブログにも書きましたので、もしよろしければ参考にして下さい。
ただし、円の中心を通ると「勝手に」想定し、そこを通らなかったから「予報が外れた」と主張しても、そのようなクレームは決して予報精度の向上に貢献しないという点は覚えておいて下さい。むしろ安易なクレームが多ければ多いほど、気象庁などの専門機関は、より高度な情報(=より誤解を招く可能性が高い情報)の公表をためらってしまうかもしれません。情報公開をためらわせないためにも、各種の気象情報をきちんと活用できるよう、自分なりに調べて理解することも忘れないでください。例えば気象庁の知識・解説には、そのような説明が多数掲載されています。
|