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台風による影響で、太平洋側では大雨による影響、日本海側では暴風による影響が多いのはなぜですか?
ご質問ありがとうございます。大雨も暴風も両側で発生するのですが、確かに太平洋側の大雨、日本海側の暴風というような印象があることも確かです。そこで典型的な例で考えてみたいと思います。
まず太平洋側で大雨が降るケースです。これは、台風が太平洋の日本南方にある時に、太平洋からの湿った風が太平洋側の山地にぶつかって大雨が降るケースが典型的です。例えば昨年に紀伊半島に大水害を引き起こした台風201112号がこの代表的な例です。この場合、湿った空気が太平洋側に大雨を降らせますが、その空気が山地を越えて日本海側に到達する時には、雨が降った後で水蒸気量も減っていますし、大雨の原因になる山地も風下側にありません。したがって大雨は太平洋側が中心になることになります。
一方で、梅雨前線や秋雨前線と一緒になって、日本上空に湿った空気が帯状に広がっている場合は、日本海側でも大雨になります。また台風の移動に伴って台風の本体の雲が日本海側にかかってきた場合も、日本海側で大雨になります。例えば昨年の台風201115号は台風が中部地方に上陸して本州を通過しましたので、台風の中心に近い北陸地方でも大雨になりました。したがって台風によっては、日本海側が大雨になります。
次に日本海側で暴風となるケースです。これは、台風が日本海側で発達しつつ温帯低気圧になるケースが典型的です。例えばよく知られているのが台風199119号で、この時の各地の最大風速は最大風速サマリーで見ることができますが、日本海側の各地で強風となっていることがわかります。これは、日本海側の方が台風の中心に近いために、気圧の傾きが大きくなって風速が強まることが原因と考えられます。また日本海側の方が偏西風が吹くエリアに近いため、台風の進行速度が上がることも多く、それによって風速がさらに大きくなる効果も無視できません(参考:台風の右側が強い理由)。したがって強風は日本海側が中心になることになります。
もちろん太平洋側でも同様に台風が温帯低気圧化しつつ発達することもあり、例えば台風200616号の時のように、強風が漁船の遭難につながることもあります。ただし、この場合の強風の中心は本州の東海上となり、陸上は強風の中心にならないことが多くなります。一方で、強い台風が本州に上陸すれば、当然ながら太平洋側が強風の中心になります。例えば台風200422号のようなコースでは関東地方が強風になるのに対して、次の台風200423号のようなコースでは、本州の山岳地帯を通過する間に台風が衰弱するため、日本海側に台風の中心が到達する前に風は弱まります。したがって台風によっては、太平洋側が強風になります。
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