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台風の雲の立体模型を作りたいと考えていますが、それに適したデータはあるでしょうか。
要望にぴったり合うものは難しいですが、2つの可能性があります。
第一に、台風を上から見た表面については、気象衛星ひまわりの衛星データを使って、近似的に3次元可視化することが可能です。ただし、これは本当の3次元データとはなりませんん。その理由は、雲の厚さが不明なためです。衛星データでは雲頂は見えますが、雲底は見えませんので雲の厚さがわからないのです。雲底がわからないと、雲が空中に浮かずに地上にくっついてしまったり、適当に定めた雲底を使ったりするしかなく、横から見ると不自然な画像となってしまいます。上記の可視化画像でも、そうした不自然さが出てしまっています。
第二に、雲底まで含めた3次元データがGPMという衛星データから得られます。ただしこれは観測範囲が狭いので、台風の全体像を捉えることが難しいという欠点があります。
ただし台風とは、広がりが1000キロメートル以上、高さが10キロメートル程度の現象ですので、寸法で考えればCDに近いとよく言われます。つまり比率を保って縮小するなら、表面がざらざらするCDのような感じになるはずで、そのスケールなら雲底は無視してしまえという考え方もありえます。また3次元プリンタを使う場合は、そもそも地上から浮いた雲を表現することが難しいでしょうから、雲頂データを使った3次元モデルでプリントし、表面の凹凸を触ってみるというのも面白いかなと思います。
なお雲頂および雲底は数値予報モデルを用いると、もう少し正確に推定できるかもしれません。さらに気象衛星画像で雲の種類を分類できれば、上層の薄い雲と積乱雲などを区別して可視化できるため、気象学的により自然な可視化ができると思います。これは台風の可視化に関する研究課題になるでしょう。
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