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気象庁台風経路図のページで台風6号の事後解析が終了し、根室半島中部を横切ったことになりましたが、「上陸」に認定はされず「通過」となりました。
これは「台風の上陸・接近・通過の定義」からすればおかしくないことかと思います。但し「台風上陸・通過データベース(完全版)」を見ると北海道・本州・四国・九州の海岸に達したのに「通過」だけ認定され「上陸」に認定されていないものはこれまで無いようです。今回初めての事象なのでしょうか。
尚、2003年14号の経路図は北海道北部を「通過」または「上陸」したようになっていますが、当時の1時間ごとの位置速報では稚内を北へ大回りして海岸に達していなかったように記憶しています。この台風に限らず1時間ごとの位置表というのは公開されていないのでしょうか。
台風の上陸・接近・通過の定義にもあるように、半島を横切る場合は通過となります。台風上陸・通過データベース(完全版)を使うと、過去の台風の通過リストを検索することができます。「検索条件を入力」のところに「通過」と入れると、通過だけに絞り込むことができて便利です。これを見ると、本土を通過した例はかなりたくさんあります。
こうした台風の上陸や通過にまつわる歴史の中で、ある意味でもっとも有名なのが台風200918号です。この台風に関しては、気象庁とウェザーニューズが、台風の上陸に関する見解を巡ってさんざん揉めました。最終的に志摩半島の周囲の経路は、上記のデータベースでは通過扱いにすらならず、知多半島への上陸のみが記録に残ることになりました。
このように過去にさまざまな見解の相違を起こしてきた台風の上陸問題ですが、通過したあと上陸していない台風というのは盲点で、私も調べたことがありませんでした。もしかして初めてなんでしょうか。まあ日本の地形から考えて、そのようなケースが発生する経路は限られるとは思います。例えば、九州南端の半島を東西方向に横切ってそのまま消滅するようなケースでないと、なかなか実現は難しいかもしれません。あるいはご指摘いただいた台風200314号のように、日本海をずっと進んできて宗谷半島を横切るケースも考えられますが、このあたりは温帯低気圧化が進んでいるパターンが多いので、台風の上陸と呼ぶには疑問が残るケースでは、気象庁もあえて上陸を記録しないのでしょう(あるいは上陸前に温帯低気圧になったと解釈する)。
その中で台風201606号が根室半島を横切るというケースが発生しました。そもそも根室半島に台風として接近すること自体が非常に珍しいですが、確かにここも通過だけして上陸しないというレアなケースが発生しうる場所の一つとは言えます。日本列島の中でも非常に限定された場所に、特定の方角から接近するという事態が重なったために、このような初めて(?)のケースが生まれたのかもしれません。ただ、上陸データベースは過去の記録の堀り起こしに依存するため、ベストトラックデータなどに比べると漏れが発生する可能性が高いです。今のところは、史上初(?)の通過台風としておきましょう。
なお1時間ごとの台風位置については、ベストトラックには記載がありませんので、確定していないと言えます。ただし上陸や通過などの重要なイベントがあった際に、例外的に1時間ごとの台風位置がベストトラックに記載されることがあります。
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