| ||||||||||
| ||||||||||
|
台風の被害について調べています。主に県内のどの地域でどのような被害が多いかをマッピングしたいと思っています。
台風の被害に関する資料を得るために県庁や地方気象台にも伺いましたが、中々長期的な資料は得られませんでした。
そこで、デジタル台風の気象災害データベースを使い、「総観気象的状況で検索:台風」を条件として、1971年〜2008年まで、死者・行方不明者、負傷者、床上床下浸水、耕地被害(ha)の被害件数の変遷を調べています。そこでデータに関して以下の質問があります。
質問ありがとうございます。気象災害データベースでは、気象庁が提供する異常気象・気象災害資料を利用して、様々な観点から気象災害が検索できるようにしています。気象庁のオリジナルなデータでは限られた検索方法しか利用できませんが、デジタル台風版は台風経路データやアメダスデータ等ともリンクしており、さらに多くの観点から検索することが可能となっています。
さてご質問の内容です。まず1.については、基本的に報告実施官署の担当区域内の被害状況をまとめたものです。ただし報告実施官署の設置は必ずしも都道府県ごととは限らず、北海道や沖縄では支庁(振興局)ごとなど、もっと細かい行政区域ごとに置かれていることに注意して下さい。このように担当区域ごとに報告する方法は、地域ごとの災害状況をより詳しく知ることができるという点にメリットがありますが、逆に一連の災害が複数の報告に分散してしまうというデメリットもあります。したがって全国縦断台風などのように広い地域に影響を与えた災害の全体像を知るためには、災害期間が重なるような複数の報告実施官署の報告を集約する必要があります。
次に2.については、各項目の具体的な定義は私にもよくわかりません。実は気象庁の資料にも定義に関する詳しい記述はないのです。さらに(旧)というコードは現在は使われていないので、その定義を探ることはさらに難しくなるでしょう。被害資料が警察や地方自治体、マスコミ等から入手したものであることを考慮すると、このデータは気象庁が統一的な基準で主体的にまとめたものというよりは、他の機関が判定したデータを気象庁が後から収集したという性格を持つものでしょう。判定した機関が複数あり、しかもデータ収録期間が長期間に及びますので、すべてのデータの分類基準にブレがないとは考えにくく、たとえ不統一が生じても止むを得ないような気がします。
そして、あまり大きな声では言えませんが(?)、特に古い報告については信頼性にも若干の不安があり、ファイルが部分的に壊れていて項目の中身が読み出せなかったり、存在するはずのないコードが割当られていたりするケースも散見されます。したがって、これらの値には種々の「誤差」が含まれるものとして扱うべきでしょう。ただ、たとえそうだとしても、これだけ長期間にわたって更新が続いているデータセットは貴重ですし、長期間の傾向を知るには十分に「使える」データと言えるのではないでしょうか。
最後に、全国の農林水産業の被害額については、台風被害データベースに理科年表の数字をまとめています。また台風災害データや災害・防災情報のリンク先ではより詳しい記録が見つかる可能性もあり、それらを参照しながら各種のデータを突き合わせていけば、より確からしい結果が得られるかもしれません。さらに防災科学技術研究所 自然災害情報室等の専門図書館にも、紙媒体であれば多くの資料が保存されています。このような紙媒体等のオフライン資料は今後ますます利用が減っていくと予想されますが、そこに過去の貴重なデータが埋もれていることも確かであり、そうした資料をどのようにオンラインに移しかえていくかも今後の大きな課題だと思います。
|