2021年の台風に関する情報のまとめ
2021年12月30日
2021年の台風の発生個数は22個と平均より少ない年でした。日本に上陸した台風は3個、接近する台風もほぼ平年並で、全体としては台風の影響がそれほど大きくはない1年だったと言えます。話題としては台風の上陸地点に関して、観測史上初となる事例が相次いだことがあります。まず、台風8号が宮城県に初めて上陸した台風(東北地方太平洋側に上陸した台風としては2016年台風10号に次いで2番目)となり、続いて台風14号が福岡県に初めて上陸した台風となりました。
世界に目を向けると、台風22号によりフィリピンに大きな災害が発生しました。この地域における災害としては2013年台風30号による大災害がまだ記憶にまだ残っているところですが、今回も猛烈な勢力の台風が直撃して大きな被害が発生しました。
さて今年も、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが続きました。避難所が密になって感染が拡大するといった複合災害は幸にして発生しませんでしたが、避難所環境の改善は今後も重要な課題として考えていくべきことと思います。
また今年は、気候変動問題がいよいよ世界経済の主要なトレンドを変化させ始めた年と言えそうです。10月には気候変動のモデル研究のパイオニアである眞鍋淑郎先生が2021年のノーベル物理学賞を受賞しました。物理学分野でこのような地球科学の研究が受賞することは異例であり、この研究が社会に与えたインパクトの大きさを示しています。そして「カーボンニュートラル」も流行語(?)となりました。大気中に人為的に排出されたCO2が気候変動の主要な原因であることから、CO2の排出を削減するためのエネルギー革命に大規模な資金が投じられています。再生可能エネルギーの本命である太陽光発電と風力発電は、いずれも気象による短期間の変動対策と、気候による長期間の投資戦略が重要な鍵を握る発電方式です。
世界の経済活動の大変動が進む中で、気象や気候を要因とするリスクをどのように管理すればよいのでしょうか。SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)の考え方が社会に広まる中で、台風によるリスクも総合的に検討されていくことになるのかもしれません。
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