台風200601号 (CHANCHU) 台風の名前 = チャンチー (CHANCHU) : 真珠 [マカオ]

2006年10月05日 23:00 JST

台風1号(CHANCHU)から遠く離れた波照間島で、修学旅行中の高校生が台風の高波にさらわれて死亡した、という報道がありましたが、この件に関してある方から連絡をいただきました。現在この事故の原因は、台風の高波とは無関係なリーフカレントが原因として疑われており、今も水難事故調査委員会では調査が進んでいるとのことでした。委員会のウェブページを見てみると結論が出るのはまだ先のようですが、台風の高波が原因という報道は間違いだったという結論が出る可能性もあります。リーフカレントとはサンゴ礁から外海へ向かう強い流れで、海上保安庁の上記ウェブサイトで巻き込まれた時の対処法を覚えておくことは重要だと思います。

2006年05月26日 20:30 JST

2004年のインド洋大津波で甚大な被害が発生した後、東南アジア地域における津波警報システムの不備が問題となりました。もし津波警報が適切に発表され、それが人々にすぐに伝わっていれば、あの被害は防げたのではないか。。。今回の台風1号(CHANCHU)では、今度はベトナムにおける台風警報システムの不備が問題になっています。というのも、今回の台風による最大の人的被害国は、台風の直撃を受けたフィリピンでも中国でもなく、台風経路から遠く離れたベトナムとなってしまったからです。南シナ海にて発生したベトナム漁船の大量遭難事故は、死者行方不明者200名以上に達する大惨事となっており、多くの漁船を出したダナンやその他の町は大きな打撃を受けています。 なぜこのような大量遭難が起きてしまったのでしょうか。今回の台風は最初はフィリピンを横断して西に進んでいましたが、日本の気象庁や米軍の合同台風警報センターは、台風が数日内に北へ進路を変えることをかなり早い段階から予測していました。ところが南シナ海で操業していたベトナム漁船はこうした情報を得ていなかったため、台風はずっと西に進むものと考えていました。そこで台風を避けるために彼らは台風の北側に避難したのですが、いざ台風の進路が予報通り直角に北向きに変わってみると(台風経路図)、台風からの避難だったはずが台風の直撃を受けるコースに入ってしまいました。不意打ちを食らった形になった彼らにはもはや逃げる時間は残されておらず、5月としては南シナ海で史上最強の台風の直撃を受けた彼らの漁船は次々に難破してしまったのです。 もし漁船が長期間の、そしてより正確な台風予報を入手できていれば、このような大量遭難は避けられたのかもしれません。そこで感じるのは、日本はこの災害に何か貢献できるのではないかということです。インド洋大津波の際も、津波に関して進んだ技術をもつ日本が協力してシステムの強化を進めています。台風についても、気象予測と情報伝達の両方の面から、同様の協力が可能なように思います。日本でもこうした漁船の大量遭難事故が過去に発生しており(例えば1965年のマリアナ沖海難の原因と経過は今回の事故とよく似たような状況のようです)、これを防ぐことも強い動機となって気象予測技術が発展してきた歴史があります。気象情報などの充実によって災害を減らすこと、これは東南アジアにとっても重要な課題で、日本はこの課題に貢献できるのではないでしょうか。 ベトナムの新聞はこのニュースを大きく取り上げていますが、経緯についてはChanchu losses heavy as families ask why、原因についてはTyphoon Chanchu: correct forecasting too lateなどが詳しく述べています。その他のニュースについては、Google Newsで検索してみて下さい。

2006年05月19日 20:30 JST

台風1号(CHANCHU)は18日未明に中国の広東省・汕頭(スワトウ)と福建省・廈門(アモイ)の間に上陸し、台湾海峡に沿って沿岸を進んでいきました。この台風の被害はアジアの数カ国におよび、死者は60人以上に達しています。

2006年05月17日 18:00 JST

台風1号(CHANCHU)は、今朝までは見えていた眼も夕方にはっきりしなくなっており、勢いも弱まってきたようです。そして徐々に東向きに経路を変えつつあり、中国南部沿岸に接近してきています。今夜にも中国に上陸するか、あるいは台湾海峡をすり抜けて東シナ海に抜けてくることでしょう。このようなコースを強い台風が通ることはかなり珍しく、各地での対策が進んでいるのかが気にかかりますが、広東省では既に18万人以上が避難しているというようなニュースも入っています。 また台北などの台湾西部を直撃する台風は、多くの場合は台湾の東から中央山脈を越えてくる間に勢力が弱まるのですが、今回の台風は台湾海峡沿いを進んでくるために、あまり勢力が弱まらないうちに直撃するという可能性もあります。台湾西部が台風の危険半円側に位置するという珍しいケースでもあり、予報の最も東寄りのコースとなった場合にはこの地域での被害も懸念されるところです。

2006年05月16日 19:15 JST

台風1号(CHANCHU)はさすがに最盛期を過ぎたようです。上陸する可能性がある地点は香港から福建省にまで広がっており、どこになるかはまだ予測がつきませんが、少し衰えたとはいってもこの地域としてはかなり強い台風であることには変わりなく、これらの地域ではどこも災害の危険性が高まっていると言えます。 台風1号に関しては、もちろん強風と大雨を警戒すべきですが、中国南部(広東省〜福建省)沿岸地域での高潮災害も心配なのではないかと思います。例えばGoogle Earthなどを使って中国南部の地形を見てみると、南東側に開いた入江とそれを囲む低地という地形が多く、台風の経路によってはこうした地域は海水が吹き寄せられて高潮が起こりやすい状況になる可能性があります。また台風1号は中心気圧が低く風が強いため、この点も高潮をより大きくする要因になります。

2006年05月15日 18:10 JST

台風1号(CHANCHU)は南シナ海全体を覆うように発達してきました。この地域、この時期としては、異例に強い台風といってよいかと思います。今日になって、気象庁などが予報していた通り、進路を北よりに変えてきました。予報によると今後はさらに東よりへと進路を変えてくるようです。

2006年05月13日 17:30 JST

台風1号(CHANCHU)はフィリピン中部を縦断してマニラにも接近しましたが、今後は徐々に遠ざかって南シナ海に抜けていくことになります。Google Earthで測定してみると、マニラに最接近した時の距離はおおよそ150kmほど、暴風域の半径は90kmですので、マニラは暴風域には入らなかったのではないかと推測できます。ただし台風が直撃したフィリピン中部からは、すでに被害の報告も入ってきています。 さてフィリピン通過でもあまり衰えなかった台風が、南シナ海に抜けて今後どうなるのかが気になります。台風の中心付近はまだそれほど密に発達しているわけではないようですが、全体の渦は一層大きく発達してきており、この地域の台風としてはかなり強いクラスの台風にまで発達する可能性もありそうです。進路については、そのまま進んでベトナムに上陸するよりも、途中で北向きに進路を変えて香港付近を直撃する進路の方が確率が高いようです。

2006年05月12日

台風1号(CHANCHU)は昨日夜から1日ほど、フィリピン中部の島が多いエリアを進んでいます。これはやや発達しにくい状況ですが、それにもかかわらず雲の形はしっかりしており、当面は衰えそうな気配がありません。これからマニラにかなり接近した後、南シナ海の島がないエリアに抜けてしまえば、再び発達してきそうな勢いです。

2006年05月11日

台風1号(CHANCHU)はゆっくりと発達しながらフィリピン中部に接近中です。予報はサマール島付近からルソン島南部に沿うように進んで南シナ海に抜けていくコースで、すでにレイテ島やセブ島などは強風域に入り、今後数日ではミンドロ島やマニラなども直接的な影響を受けそうです。

2006年05月10日

台風1号(CHANCHU)は今日になってだいぶ雲がまとまってきました。台風は引き続き発達傾向にあるようです。

2006年05月10日

さて昨日の台風1号発生に関して、メディアのニュースでは「昨年より4ヶ月遅い」という比較をしていますが、台風シーズンをまたぐような比較にはあまり意味がないのではということは、すでに昨年の台風1号の時にも書きました。しかしそう考えると、昨日の「この台風1号は過去何番目に発生が遅いの?」という問題への回答は、これだけでは不十分のような気がしてきました。ここで別の見方による回答を与えたいと思います。 まず台風シーズンの話にも書いたように、「本当の」台風シーズンの切れ目を2月11日としましょう。すると、2月11日以降に発生した台風を対象にして、「この台風は過去何番目に発生が遅い?」のかを調べないといけないわけです。その方法を以下に示します。
  1. トップページの「メタデータによる検索」の日時・シーズンで検索をクリックします。
  2. 「月日で台風系列を検索」(北西太平洋)で、2月11日から5月9日までを指定して検索を開始すると、その期間に発生していた台風が表示されます。
  3. ページの下の「発生年分布を表示」をクリックすると、ヒストグラムが表示されます。
  4. 2月11日から5月9日の間で台風が発生していない年は、ヒストグラムで頻度が0の年を探すと、12年あることがわかります。
  5. したがって今回の台風は、「本当の」台風シーズンでは過去13番目に遅い「最初の台風」となります。
56年間で13番目に遅いということで、やはり今年は発生がやや遅かったとは言えるでしょう。

2006年05月09日

台風1号(CHANCHU)がミンダナオ島の東で発生しました。今後はフィリピン南部への接近が予報されています。 さて、台風1号が発生した時に出てくる典型的な質問は、「この台風1号は過去何番目に発生が早い(遅い)の?」という質問です。最も発生が早い台風と遅い台風はすでに調べてありますが、この台風はいったい何番目なのでしょう?おそらく、この質問に答えるためにこのサイトを検索している方もいらっしゃると思い、私も自分でやってみました。 ところが、自分でやってみてわかったのですが、この質問にはどうやら直接的には答えられそうにありません。使えないサイトですね。ということで「台風1号調べ」が簡単にできるような機能を追加してもよいのですが、現状でもこんな工夫をすれば調べられますよ、という方法を二つ示すことで、途方にくれている方(?)への助け船としたいと思います。 第一の方法を示します。
  1. トップページの「メタデータによる検索」の名前・番号で検索をクリックします。
  2. 「台風番号で台風系列を探す」の「01号」(北西太平洋)をクリックすると、過去の台風1号のリストが表示されます。
  3. ページの下の「発生月分布(上中下旬)を表示」をクリックすると、ヒストグラムが表示されます。
  4. 今回の台風よりも明らかに後に発生しているのは5月中旬以降に発生した台風で、これはヒストグラムから過去に7個あることがわかります。
  5. ただ5月上旬に発生した台風は不確定ですので「5月上旬」をクリックして詳細を見てみると、この時期に過去に発生した台風200001号は5月7日に発生しており、この台風より前になることがわかります。
  6. したがって今回の台風は過去8番目に遅い台風1号となります。
第二の方法を示します。
  1. トップページの「台風発生数」のコーナーにある平年 = 2.0個をクリックします。
  2. 「5月9日までに発生した台風のリスト(1951年以降)」をクリックすると、5月9日までに発生した過去の台風のリストが表示されます。
  3. ページの下の「発生年分布を表示」をクリックすると、ヒストグラムが表示されます。
  4. 5月9日の時点でまだ台風が発生していない年は、ヒストグラムで頻度が0の年を探すと、1952年、1964年、1973年、1983年、1984年、1998年、2001年の7年あることがわかります。
  5. したがって今回の台風は過去8番目に遅い台風1号となります(ただしこの方法は、5月9日に発生した別の台風があると順序を間違える可能性があります)。
いやもしかすると、この二つの方法の他にも、私が知らないすごい裏技があるかもしれません。操作の組み合わせを考えるのはやや面倒かもしれませんが、どうすれば自分が求める情報に素早く到達できるのかを考えてみると面白いのではないかと思います。

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