台風201215号 (BOLAVEN) 台風の名前 = ボラヴェン (BOLAVEN) : 高原の名前 [ラオス]

2012年08月29日 21:30 JST

台風15号(BOLAVEN)に関しては、韓国でも最大級の警戒が呼び掛けられた結果、死者15人には達したものの、全体的には最悪の事態は免れたという安堵感が漂っているようです。このような結果を受けて、気象庁の情報発信に対する「苦言」が出てきています。例えば沖縄タイムスでは[台風15号]予報検証し次に生かせで以下のように述べています。
今回の台風15号と昨年の台風2号を比較し、分析してもらいたい。予報の精度が高くなければ適切な対策は取れない。予報と実際のかい離が重なると、住民は予報に全幅の信頼を置かなくなる。
また琉球新報でも台風警戒態勢 予報精度と注意喚起は両輪において以下のように述べています。
その誤差が想定の範囲内であれば、それは予報精度の限界をも意味する。今回はいい方向に予報が外れたが、予報との乖離(かいり)が続くと、逆に信頼性を損ねる危うさをはらむ。きめ細かで、より正確な予報モデルの構築とともに、地域住民に分かりやすい説明にも心を砕いてほしい。
いずれの新聞社も、常に災害への警戒を怠ってはならないことに注意喚起しつつも、今回の情報については「ぶっちゃけ、外れじゃないの?」と言ってみたい気持ちもありそうな感じです。
このような反応に対して、気象庁は今回の誤差は「想定の範囲内」だと主張しているようです。例えば沖縄タイムスの気象庁、予報誤差「想定の範囲内」には以下のような記述があります(ただし実際の発言通りなのかは未確認です)。
中心気圧について同気象台は「予報値と実測値に差があったことは確か」。 一方、気象庁は「ほかの台風でもあることで、差は想定の範囲内だ」とした。
うーむ、「想定の範囲内」ですか。。。この言葉、ひっかかります。東日本大震災以来、我々は「想定」という言葉を数多く聞きましたが、結局のところ何が想定内で何が想定外かは「想定」の定義次第だということを学びました。気象庁は何を「想定」としていたのか、そこを明らかにしないとこの言葉は意味がないとも言えます。そこで私が個人的に、何が想定内で何が想定外だったのかを、台風情報において重要な3要素である「位置、雨、風」ごとに評価してみたいと思います。ただし以下の議論はあくまで「後講釈」であり、「私ならもっとうまくできた」という意図ではありません。そこのところはご理解下さい。

位置

台風空想では、予報位置と実際の経路とを比較できます。これで検証すると、24時間予報では、実際の経路がほとんど予報円内に入っています。48時間予報と72時間予報では、予報が実際の経路よりもやや南寄りになっていますが、大きく外れているケースはありません。台風15号は、経路については、予報が難しい台風ではなかったということです。もちろん沖縄本島の北部、南部のどちらに上陸するかは直前までわかりませんが、沖縄本島全体が予報円に入っていましたので、位置については「想定内」と評価できそうです。 ただし位置の点で問題があったとすれば、「那覇」という地名が必要以上に印象づけられてしまったことでしょう。最大瞬間風速の記録に関連して那覇という言葉が連呼されたため、あたかも沖縄本島南部で強風が発生するように誤解された可能性があります。現状では沖縄本島のどこに接近するかは事前に予報できないのですから、もう少しいろいろな地域の情報を取り混ぜてアナウンスした方が良かったのではないかと感じます。

台風15号は雨についても特徴がありました。それは台風の中心付近の雨雲ではそれほどの雨が降らず、むしろ台風の南側から東側に広がった雨雲の帯によって、台風の通過後に雨量が増えたという点です。もちろん気象庁もこの雨雲の帯で大雨になることは想定していたはずで、その面では想定内と言えると思いますが、台風中心の雨雲で雨量があまり増えなかったことはやや想定外だったのではないでしょうか。会見情報では24時間降水量600ミリ〜800ミリでしたが、アメダスの実測値でも国頭のように72時間降水量が563mmに達した地点がありました。しかし台風の中心が通過した名護でも72時間降水量は299mmで、この地点で記録された最大値の半分ほどに過ぎません。両者を合わせてギリギリ想定内と評価できるでしょうか。ただし台風の通過後にも大雨になるという点が周知徹底されていたかどうか、この点も気になるところです。

この評価の最大の焦点は「風」です。というのも沖縄気象台の記者レク資料では、最大瞬間風速に関する情報が特に赤字で強調されていたからです。つまり、「最大級の警戒」という言葉で最も訴えたかったことは「風」だと考えられますが、風の予測は(幸運な方向に!)大きく外れました。アメダスの実測値では、最大風速で30m/sを越えた地点はなく、最大瞬間風速でも40m/s台前半です。会見情報が最大風速50m/s、最大瞬間風速70m/sだったことを考えると、これは「想定外」と言ってよい外れ方だと考えます。ではなぜこのような違いが生じたのでしょうか。その原因は、この台風の特徴を読み違えた点にあると私は考えています。つまりこの台風は、そもそも風が強い「風台風」ではなかったということです(台風の特徴を「読む」ことについてはドボラック法を参考にして下さい)。 台風15号の勢力が最盛期のとき、中心気圧は910hPa中心付近の最大風速は100kt、暴風域の半径は170nmでした。それに対して宮古島で大被害が生じた台風200314号の勢力が最盛期のときは、中心気圧は910hPa中心付近の最大風速は105kt、暴風域の半径は80nmでした。ここで注目してほしいのが暴風域の半径です。台風200314号の暴風域の半径は台風15号の半分ぐらいしかなく、全体として台風がコンパクトなのです。同じ中心気圧の台風といっても、大きさで見ると両者はかなり異なります(なおktとnmの単位については台風の強さと大きさ - 気圧と風速の単位を見てください)。 風の強さは大雑把に言えば気圧の傾きが効きますので、同じ気圧差なら小さい台風の方が風は強くなります。台風15号ほど大型の台風になると、中心付近に気圧の傾きが大きい場所が存在しないと、小さい台風と同じほどの強風は生じません。その影響も考慮して、上の記録では中心気圧が同じ910hPaの時点でも、台風15号の方が最大風速は5kt小さくなっています。しかし今回はそれに加えて中心気圧でも20hPaの違いがあったわけですから、全体的に風速が小さくなるのも当然でしょう。つまり中心気圧の推定誤差の問題と最大風速の誤差の問題は共通の原因にリンクしていて、その原因は台風の特徴の読み違いではないかと考えられるのです。 前掲の沖縄タイムスの記事には、「台風の中心付近に壁のように何重にも取り囲む雨雲があり、雨雲に向かって上昇する気流が、台風の中心に流れる暴風の流れを遮った可能性がある」との考えが紹介されています。台風15号はきれいな渦巻き構造を持っていましたが、このようなパターンの台風では、渦巻き構造(あるいは壁雲が複数存在する多重眼構造?)によって中心付近へのエネルギーの集中が妨げられ、風があまり強くならないというのが今回の教訓かもしれません。また台風中心の雨雲でそれほど雨量が増えなかった点も共通の原因によるものでしょう。つまり、中心付近に雨雲が集中するタイプではなかったため、台風中心が通過したことが大雨に直結しなかったのです。しかし、台風15号がこのような性質を持つ台風であることを想定した上で台風情報を発表していれば、そもそも今回のような誤差は生じないとも思えます。何が想定だったのかという定義によりますが、やはり全体的に見て「想定外」だった部分があることは否定できないように感じます。

まとめ

以上の議論をまとめると、やはり台風の特徴を読み違えたという点が、今回の一連の出来事のそもそもの原因と考えられます。そしてこの読み違いを決定づけたのが(ゲームで言えば「敗着」となったのが)8月26日朝の中心気圧910hPaの発表であり、ここで本当にきちんと最新のデータを検証していたのか、それとも事前に出したシナリオに縛られてデータの検証が甘くなってしまったのかが、気になるところです。沖縄タイムス、琉球新報とも、今回の情報発表に関する検証作業を求めています。次に同じ問題が起こると、情報の信頼性が揺らぐかもしれないよ、と(参考:気象庁の予報精度と防災行政)。前掲の沖縄タイムスの記事では、気象台は「気圧が低い所が無条件に風が強いとはいえない」と述べており、それはそれで正しいのですが、台風全体で風が弱かったのであればこれは言い訳のようにも聞こえます。今回はせっかく記者会見するという意欲的な試みをしたのですから、「想定の範囲内」などと強弁するのではなく、きちんと検証して次回の会見に備えてほしいところです。まあ正直なところ、次回の会見はプレッシャーがかかるかもしれませんが。。

2012年08月27日 20:45 JST

台風15号(BOLAVEN)は東シナ海を北上中です。大型の台風で強風域は未だに大きいため、沖縄地方や九州地方ではまだ強風が続いています。台風の通過後に南東側の厚い雲が南西諸島にかかって雨量は増えてきており、アメダスイベント検出によると、沖永良部国頭では降水量が400mmを越えました。最盛期に比べて勢力は衰えたといえど、雨雲はまだしっかりと残っており、沖縄通過時よりもやや速度が増していることを考えると、これから台風が接近する韓国や北朝鮮ではかなりの強風と大雨になりそうです。韓国付近に接近する台風としてはかなり強い部類に入る勢力を保っています。 ところで沖縄本島地方では、事前に最大級の警戒が呼び掛けられたにもかかわらず被害はそれほどではなかったため、台風情報が適切だったのかに疑問を持つ人もいるようです。そこでまず台風の勢力について検証してみましょう。台風の中心が通過したと思われる名護の10分ごとの気象データを対象に、気圧と風速と降水量をまとめてグラフ化してみました。
青線は海面気圧(hPa)、橙線は平均風速(m/s)、赤線は最大瞬間風速(m/s)、薄青棒は10分間降水量(mm)、なおグラフにはスケールを描いていませんが、横線が3mmに対応します。参考:気象庁観測データ「10分ごとの値」
これを見ると、最低気圧を記録した時間と最小風速を記録した時間はずれていますが、おおむね935hPa付近が最低気圧と考えてよさそうです。より詳細に見ると、20:30頃と22:30頃に風速が極大となっており、これを眼の壁雲と考えればその中点は21:30頃。これは気圧の最小値とも近いので、この頃に台風の中心が通過したと考えるのが妥当でしょうか。とすると、風速の極小値が20分ほど遅れている(風速の中心が東側にある)ことになりますが、その原因はわかりません。ちなみにデジタル台風Facebook版には、名護の方から21:20頃台風の眼に入ったとのコメントがありましたが、これはグラフで風速が急速に弱まった時間とよく符合しています。 さてこのデータを信用すると、沖縄「上陸」時の中心気圧は930hPaから935hPaぐらいだったということになるでしょう。沖縄本島に「上陸」するだけで勢力が急激に衰えることは考えにくいからです(なお「上陸」については台風の上陸・接近・通過の定義を参照して下さい)。これは気象庁が「上陸」前に910hPa、「上陸」後は920hPaと発表していた情報と食い違うため、気象庁が過大な情報を発表したのではと疑う人もいるようです。個人的な意見としては、気象庁がわざわざ過大な情報を出したのではなく、むしろ台風の特徴を「読み誤った」のではないかと考えています。 「読み誤る」とはどういうことか。そもそも台風の勢力は、専門家が台風を「読み解く」ことによって推定しているものです。その方法をドボラック法と言います。人間が読み解くものですので、そこには読み誤りの可能性が伴います。特に、台風が現在どういう状況で今後どのように変化するかというイメージを間違ってしまうと、大きな誤差が生じてしまうことがあります。例えば今回、台風は沖縄本島に接近しつつ発達するというイメージを持って、中心気圧を920hPa→910hPaに変更したとしましょう。もしその後すぐに、「こんなはずではなかった」と自分のイメージの誤りに気付いたらどうすべきでしょうか。「しまった930hPaぐらいだな」と思ったら、正直に910hPa→930hPaに変更すべきなのでしょうか。これは難しい問題です。というのも、このように変更してしまうと、「急激な衰弱」というこれまた実態とは離れた「意図しない情報」を与えるためです。実態が勢力維持であるなら、数字を実態にあわせるべきか、数字の変化を実態に合わせるべきか。私は、意図しない情報を人々に与えないことが目的なのであれば、あえて実況を修正しないという選択もある程度は正当化できると考えています(*1)。ただし、結果的にドボラック法の推定ミスである可能性は高いので、どこで読みを誤ったのかという点については、しっかり事後検討して欲しいと思います。 しかし全体的に見れば、今回のように最大級の警戒を呼び掛けること自体は意義ある試みだったと考えています。台風による被害は台風の中心がどこを通るかで大きく変わります。今回もし、たまたま台風が南寄りの進路を取り、たまたま沖縄本島付近で発達したら、沖縄本島南部で大被害が生じる可能性はゼロではなかったのです。また台風の進行方向右側に入った奄美地方では、沖縄本島よりも強風と大雨が激しくなりましたが、それは台風がたまたま北寄りの進路を取ったからです。このような「たまたま」という不確定性は、台風情報にはつきものです。結果的に被害が少なかったことを良しとすべきでしょう。 (*1) 実は上陸まで時間があれば、ちょっとずつ修正を加えて辻褄を合わせることも可能なのですが、今回は上陸直前だったためそういう時間はありませんでした。また台風の中心が観測所の真上を通ることはまれで、通常はドボラック法の精度をきちんと検証することが難しいのですが、今回は運悪く(?)台風の中心が名護の真上を通ってしまったため、推定値と実測値の違いが明白に見えるようになってしまいました。ただし気象庁の名誉のために付け加えるなら、同じく910hPaと推定された台風200314号の際にも台風の中心が観測所のすぐ近くを通過しましたが、この時は推定値が実測値とかなりよく一致しました。

2012年08月27日 00:30 JST

台風15号(BOLAVEN)は沖縄本島の名護市付近を通過し、名護では20時47分に934.7hPa21時18分に934.3hPaの気圧を記録しました。これは1973年4月以降、名護で観測した気圧としては台風200418号で記録した924.4hPaに次ぐ低い記録ですが、数十年に一度という記録にはなりませんでした。また下に示す台風通過前後の名護の地上観測データを見ると、22時の風速が3.3m/sと小さくなって風向が反転しているため、この時間帯に台風の眼が通過したことがわかります。一方、20時47分に記録した最低気圧ですが、21時時点でもまだ風雨が強いことを考えると、これは台風の眼そのものではなく、眼の壁雲による上昇気流が生み出した局所的な低気圧(メソサイクロン)の影響なのかもしれません。
8月26日20時30分 8月26日21時30分 8月26日22時00分
次に、上に示した雨雲レーダー画像や、2012年8月26日の動画を見てみると、20時30分頃には沖縄本島の東岸付近にあった「雲の穴」が、21時30分頃には沖縄本島の西岸付近に到達していますが、22時でもまだ名護は「雲の穴」の中にありますので、これが地上観測データに現れた台風の眼に対応すると考えられます。この「雲の穴」が実際の眼の大きさにそのまま対応するとは言えませんが、少なくとも名護の非常に近い場所を台風の中心が通過したとは言えそうで、各種の観測データから今回の台風勢力推定の妥当性についても検証できそうな感じがします。 ただし気になる点もあります。動画を見ると「雲の穴」の経路が名護通過前後で明らかに南方向にずれている点で、あたかも沖縄のやんばる地域の山地を避けて通過しやすい名護付近を通り抜けたようにも見えることです。最初は東村付近に「上陸」しそうだったのに実際には名護付近に「上陸」したように見えるのは、この「上陸」直前の経路の曲りが原因のように見えます。となると、この「雲の穴」の位置は見かけ上のもので、実際の台風の中心はもう少し北側を通過しており、中心気圧も名護の気圧よりは低かったという可能性もあります。このあたりの問題は今後の検証待ちです(なお「上陸」については台風の上陸・接近・通過の定義を参照して下さい)。 台風は沖縄本島を通過しましたが、これで台風の影響が終了したわけではありません。沖縄では「吹き返し」という言葉があり、台風の通過後にかえって天候が荒れる場合があります。本州だと「台風一過」のように、台風の通過後はすぐに青空が広がるようなイメージもありますが、沖縄では台風の通過はあくまで「前半戦終了」に過ぎず、吹き返しという後半戦をまだまだ戦わなくてはなりません。特にこの台風は衰弱して形が崩れたわけではないため、台風通過後にもレインバンド(帯状の雨雲)が繰り返し襲ってくることが予想されます。27日までは警戒が必要な状況です。
2012年08月26日の名護の気象データ(気象庁 アメダス表形式より)
時刻 気温(℃) 降水量 (mm) 風向 風速 (m/s) 湿度 海面気圧(hPa)
20 26.9 4.5 北北西 18.6 91 943.6
21 26.8 33.5 北北東 16.6 93 935.1
22 26.6 2.0 南南西 3.3 93 935.9
23 26.7 8.5 南南西 14.1 93 946.5
24 26.7 3.0 南南西 11.7 93 953.1

2012年08月26日 18:00 JST

台風15号(BOLAVEN)は沖縄本島に接近してきていますが、現在のところは進路がやや北寄りに変わってきており、沖縄本島北部もしくは与論島の方を通過するかもしれないという状況です。台風の中心位置は、雨雲レーダー2012年8月26日の動画でもある程度は追跡可能ですので、確認してみて下さい。 17時現在の気圧は、名護が964.2hPa、那覇が966.1hPa、沖永良部が975hPaとなっています。各地の風速に関してはそれほど大きな値はまだ観測されておらず、大東島地方を除けば最大瞬間風速で40m/sを越えた地点はまだないようです。一方各地の雨量に関しても、現在のところは最大で100mm程度と、まだ雨量もそれほど増えてはいません。

2012年08月25日 22:30 JST

台風15号(BOLAVEN)の沖縄接近に備えて、沖縄気象台が初の記者会見をおこない、最大級の警戒を呼び掛けました(記者レク資料)。そこでは1956年に那覇で記録した73.6m/sの最大瞬間風速を例に取り上げ、これに匹敵する暴風が吹く恐れがあるとしました。 ここで取り上げられたのが台風195612号です。より詳細な経路を確認するためにGoogle Maps版を見てみましょう。この時は台風の中心が那覇の南西10km程度のところを通過し、その時の中心気圧が935-940hPa、那覇の実測は936.3hPaでした(なおこの時代の記録には最大風速の記載がありません)。今回の台風は、沖縄本島接近時に中心気圧ではこれを下回る可能性がありますが、実際にどこを通過するかはまだわかりません。 次に那覇で最大瞬間風速を記録した上位5個の台風の経路を確認してみましょう。今回の台風15号のように南東から北西に抜けていくパターンと、偏西風に乗って那覇の西側を南西から北東に向けて抜けていくパターンがありますが、台風199918号を除けばいずれも1961年以前の台風でかなり昔の台風です。 次に地名(緯度・経度)で検索を使って、那覇の近辺を通過した過去の台風を検索してみましょう。那覇の150km以内を通過した台風は過去に121個あり、最接近時の中心気圧が最も低かったのは台風199019号です。この時の勢力は895hPa、60m/sとさらに強かったものの、那覇は中心から100kmほど離れて進行方向左側に位置したため、それほどの暴風にはならなかったものと推測されます。 このような過去の記録をもとに考えると、沖縄近辺ではこの強さの台風は時々は通過するものの、今回の台風は以下の条件をすべて満たすという意味で、「沖縄本島にとっては」数十年に一度の台風となる可能性があるということになります。
  1. 比較的ゆっくりとした速さで進む(偏西風に乗って速度を増すタイプではない)
  2. 沖縄本島地方に接近して通過する(海上を通過するわけではない)
  3. 台風を取り巻く広い範囲で発達した雨雲を伴っている(中心付近だけザッと降るタイプではない)
台風15号の予報は25日21時の情報でさらに上方修正され、沖縄本島接近時の勢力は910hPa、50m/sとなりました。これはまさに宮古島を直撃した台風200314号の再来、あるいは規模の大きさを考えればそれ以上と言えるかもしれません。沖縄本島地方の接近は26日の夜から27日の明け方、予想される風速は、最大風速50メートル、最大瞬間風速70メートル、24時間降水量は600-800ミリとのことです。最大級の警戒が必要です。

2012年08月25日 15:30 JST

台風15号(BOLAVEN)は中心付近の眼がかなり明瞭になって、渦巻き構造もはっきりしてきました。現状でも既に大型で非常に強い台風ですが、これが沖縄に接近する前にあとどのくらい発達するのか、そこが今後の被害状況を左右する重要な要因になります。現在のところ沖縄付近の海水温は29度と高くなっていますが、それが発達にどのような影響を与えるか、気象庁の台風情報ではこれから発達して最盛期を迎えるという予報です。 ここに近い位置で急発達した台風の事例としては、台風200314号の事例があります。このときは、東経131度で970hPa(65kt=35m/s)の勢力だった台風が、東経126度で910hPa(100kt=50m/s)にまで発達しました。同様なパターンで台風が発達すると、現在東経132度で940hPa(85kt=45m/s)の台風15号が、東経127度の那覇に達する時点でさらに勢力を強めている可能性もあるわけです。2003年の台風14号は宮古島を直撃して、強風にある程度は慣れている島においても、甚大な被害を引き起こしました。このように発達する可能性があることも考慮して、沖縄気象台では「最大級の警戒」を呼び掛けています。

2012年08月24日 23:00 JST

台風15号(BOLAVEN)は再び発達を始めたようです。この台風は「大型」で雲の渦が大きく広がっており、今後さらに発達する可能性が高まっています。また台湾を通りすぎた台風14号にも影響を及ぼして複雑な経路を生じさせる可能性も出てきており、沖縄県全域および奄美諸島などでは最大級の警戒が必要です。

2012年08月23日 18:30 JST

台風15号(BOLAVEN)は中心付近に大きく発達した厚い雲を伴っていますが、回転がなかなか強まらずに勢力としては発達が止まった状態です。ただ、このまま巨大な雲の塊のままで終わるとも思えず、いずれ回転が強まってくるのではないでしょうか。そしてこのあと勢力が強まる場合には、沖縄に接近する頃に勢力のピークを迎える可能性もあり、依然として警戒すべき台風だと思います。

2012年08月22日 17:30 JST

台風15号(BOLAVEN)は着実に発達を続けており、渦巻きも大きく拡大して南方から雲を巻き込んでいます。衛星可視画像を見る限りでは中心付近の眼はまだ明瞭ではありませんが、今後も発達を続けるとの予想が出ており、進路にあたる沖縄では早めの準備が必要でしょう。

2012年08月21日 18:30 JST

台風15号(BOLAVEN)は今のところは北西にゆっくり進んでいますが、これから徐々に西よりにスピードを早めて沖縄地方に近づいてくるとの予報が出ています。台風14号よりも北よりのコースを通って、沖縄のどこかの島に接近する可能性が出てきました。

2012年08月20日 16:30 JST

台風15号(BOLAVEN)がマリアナ諸島で発生しました。今後は西に進むとの予報が出ています。この台風も台風14号と同様に、発達への条件が整っているような印象を受けますので、今後の台風の発達状況には注意する必要があります。

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