台風201224号 (BOPHA) 台風の名前 = ボーファ (BOPHA) : 花 [カンボジア]

2012年12月22日 13:30 JST

台風24号(BOPHA)によるフィリピンの被害は、現在のところ死者1050人、行方不明800人以上に達しています。死者や行方不明者の多くはミンダナオ島の災害によるものですが、その他にも東シナ海で多くの漁船が行方不明となって人的被害が拡大しました。ミンダナオ島の乱開発や違法な採掘作業が土砂災害の原因となっていますが、台風201121号に続く2年連続の大災害発生を踏まえ、ミンダナオ島の災害対策もさすがになんとかしないとまずい状況でしょう。これまで台風が少なかったミンダナオ島にこれからは台風が来るようになるのか、そうした台風経路の変化が気候変動によって生じるのか、それは判断が難しいことではありますが、少なくともミンダナオ島にも強い台風が襲うことを前提とした災害対策が望まれるところです。なお現地の被害写真としては、The Atlanticの写真が衝撃的です。

2012年12月08日 21:00 JST

台風24号(BOPHA)は南シナ海で複雑な動きを示しており、再びフィリピンに接近しています。今回接近しているのはルソン島の北部ですが、進路予想図によると今後の経路は直角に南に曲がるとのことで、ルソン島に上陸するかどうかはまだわかりません。偏西風に流されて東に進むか、偏東風に流されて西に進むか、ちょうど境界のあたりをウロウロしながらループを描いているという感じです。 一方、ミンダナオ島での災害については、死者500人以上、行方不明者400人以上と、人的被害は合わせて1000人ほどに達しただけでなく、30万人以上が家を失っています。被害の中心はミンダナオ島南東部のコンポステラバレー(死者252人)と東ダバオ(死者216人)で、特にコンポステラバレーのニューバターン周辺での被害が大きいようです。ただし一部の報道では、もともと危険な場所に家を建てたことが被害拡大の原因ではないか、との指摘も伝えられています。これはフィリピンの災害ではたびたび問題になる点ですが、危険な場所に住まないようにすることが災害対策の第一歩。それをフィリピンのような環境でどう実現するのかが課題と言えるでしょう。

2012年12月05日 21:00 JST

台風24号(BOPHA)はフィリピンのミンダナオ島に上陸して南シナ海に抜けましたが、時間が経つにつれて被害の規模が拡大しています。今回の被害は台風の経路よりも南側にあたるミンダナオ島南部が中心のようで、現在のところ死者230人、行方不明数百人に達しているとのことです。交通不便な遠隔地の情報収集に手間取っているとすれば、今後さらに被害規模は拡大する可能性があります。 ミンダナオ島南部にこれほど強い台風が襲うことは極めて稀なできごとです。例えば上陸地点付近の(7.7N, 126.6E)の150km以内を通過した台風を地名(緯度・経度)で検索でリストアップしてみると、1951年以降でたった9個しかなく、しかも今回の台風が中心気圧930hPaと勢力の面では断トツのトップ。その次に強い台風197003号は980hPa程度の台風ですから、いかに今回の台風が特異であるかがわかると思います(ちなみに台風の通り道はミンダナオ島北端部より北側)。さらにその9個のうち、実は今年が1個で昨年が2個、しかもそのうちの一つの台風201121号が死者1000人以上の大規模災害を引き起こしたことも忘れてはなりません。 これほど特異な台風となったそもそもの発端は、1951年以来初とも言える「赤道台風」として、赤道直下で発達を続けるのに十分な時間を確保できたという点にあります。その特異性はフィリピンの防災当局にも伝わっており、昨年の台風災害の教訓もあって都市部では事前避難を最大限に進めたようですが、農村部まで避難を徹底させることはなかなか難しかったのではないかと思われます。

2012年12月03日 18:00 JST

台風24号(BOPHA)はパラオの南方を通過しました。台風が南にそれたため、幸いにもパラオは直撃を免れ、被害が大きくなることはなかったようです。しかし予想進路ではフィリピンのミンダナオ島がその前に迫っており直撃は必至というコースです。台風が多いフィリピンの中では、ミンダナオ島は台風が比較的少ない地域で、その分台風に対する備えも十分ではない可能性があります。昨年も台風201121号の大雨により、北部のカガヤン・デ・オロなどでは大きな被害が発生しました。台風201121号と今回の台風の経路は非常に近く、しかも今回の台風の方がはるかに強い勢力であることから、再度の災害に対する警戒が必要な状況となっています。

2012年12月02日 16:00 JST

台風24号(BOPHA)はこの地域の台風としては非常に発達しています。またパラオはすでに強風域に入っており、まもなく暴風域に入る見込みです。パラオのような南の島に、そのさらに南から強い台風が接近するというのはかなりまれなケースです。直撃よりは若干南のコースを進んでいるようですが、今後の推移に警戒が必要です。

2012年11月30日 19:00 JST

台風24号(BOPHA)が赤道直下を西に進んでいます。これほど赤道に近いところを進む台風は1951年以来の統計を見ても台風200126号しか他に例がなく、太平洋上では前人未踏の領域を進んでいることになります。しかも台風200126号はわずか18時間しか生存できなかった弱い台風(最低気圧は1006hPa)であることを考えると、台風24号は1951年以来初めての本格的な「赤道台風」と言えます。 これほど南に位置する台風を見ると、もし台風が赤道を越えたらどうなるのだろうなど、興味深い問いがいろいろ浮んできます。赤道をはさんでコリオリの力は逆転するので台風の渦は維持できないのでは、いや少しの間なら維持できるのではなど。前例がないので明確な答えもないという状況ですが、シミュレーションによる数値実験で試してみると面白そうです。 台風24号の渦巻きはどうなっているのかを確かめるため、台風と赤道との位置関係を図示してみました。左から11月28日9時(JST)、11月29日9時(JST)、11月30日9時(JST)のひまわり可視画像で、赤道に黄色線を引いています。この図で見るかぎり、台風の渦はきちんと北半球におさまっています。もう少し南に進むとどうなるかを見てみたいですが、あいにく進路は徐々に北寄りに変わりつつあり、実質的には北緯3度付近が台風の南限となってしまうでしょうか。

2012年11月27日 09:30 JST

台風24号(BOPHA)がマーシャル諸島で発生しました。発生地点の緯度はおよそ北緯4度と、非常に赤道に近い場所での発生です。台風発生地点図で検索してみると、北緯5度より南で発生した台風は1951年以来で13個しかありません。最近では台風200206号以来、10年ぶりの発生です。赤道付近は台風が渦を巻く力(コリオリ力)が弱いため、台風が発生しにくいと言われています。 なお本日は、台風発生からしばらくの間、誤った経路データを表示してしまいました。その原因は、10日ほど前に南シナ海に存在した別の熱帯低気圧が、台風の勢力まで発達せずに消滅したあとも、古いデータが残っていたためです。この熱帯低気圧と今回の台風とは、内部的に利用するIDが同一のため、両者が一続きのデータであるとシステムが誤って認識してしまいました。従来は手動で古いデータを消していたのですが、再発防止のためには自動的に管理する必要がありますね。

関連する台風ブログ記事

  1. 2014年台風4号(ペイパー|PEIPAH)
  2. 2011年台風21号(ワシ|WASHI)
  3. 2012年台風のまとめ
  4. 2021年台風22号(ライ|RAI)
  5. 2014年台風23号(チャンミー|JANGMI)
  6. 2013年台風30号(ハイエン|HAIYAN)
  7. 2014年台風22号(ハグピート|HAGUPIT)
  8. 2009年台風9号(アータウ|ETAU)
  9. 2009年台風8号(モーラコット|MORAKOT)
  10. 2004年台風11号(マーロウ|MALOU)