2004年(平成16年)の台風に関する情報のまとめ

2005年07月03日

2004年版アメダス統計の更新を機会に、台風災害情報データベースを検索しながら、2004年に日本に接近した台風を、改めて振り返ってみたいと思います。ここでは特に、2004年の台風による大雨と強風の影響を過去の台風と比較するため、台風インパクト指数を取り上げて分析してみます。 大雨インパクト指数 2004年の台風の中で大雨インパクト指数が特に大きかった台風は200423号で、197617号199019号に次いで第3位となっています。特に注目すべきなのは、200423号による総降水量の上位地点は500mm程度と、他の代表的な雨台風に比べて特別に大きいわけではないにもかかわらず、大雨インパクト指数は大きくなっていること。これは、全国的にまんべんなく雨量が多かったために、すべてを合計した大雨インパクト指数が大きくなったことが原因で、この台風による全国的な災害の広がりを象徴する数字と言えるでしょう。その次にくるのは200421号ですが、22位とあまり上位ではありません。もちろんこれは雨が局所的だったことが原因で、場所によっては非常に多い雨量を記録しています。しかし全体的に見れば2004年は、大型の雨台風が多かったわけではないことがわかります。 強風インパクト指数 大雨インパクト指数に対し強風インパクト指数の方は、200418号が1位、200416号が3位、200423号が8位など、2004年の台風が上位にランクしています。大雨と強風のインパクトを比較すれば、「2004年は風台風の年であった」と言えるでしょう。2004年で最大の被害額を記録したのは200418号ですが、この台風による強風がここ30年間で1-2位を争うほどに強かったことが、被害額が(特に北海道で)増大した主要な原因です。また、2004年に続発した高潮災害についても、その原因の一つはこのような風台風が連続して接近したことにあります。こうしてみると2004年は、歴史的にみれば強風の影響が特に大きかった年と特徴づけることができます。 総合インパクト指数 200423号(2位)、200418号(4位)、200416号(5位)の3個の台風が歴代5位以内に入るなど、2004年は稀なほど強大台風が日本に続々と接近した年であったことが、総合インパクト指数のランキングに現れています。上位台風を分類してみると、200423号は大雨と強風の両方の指数が大きい本格派の台風、一方で200418号と200416号は強風指数が大きい風台風型の台風に分類できるでしょう。

2005年05月28日

日本損害保険協会によると、2004年の風水害による損害保険金支払額は7274億円と、1991年の6217億円を上回って過去最高となったようです。個別にみると、台風18号による支払額が3823億円と最大で、その後に台風23号台風16号と続きます。2004年は大変な自然災害の年であったことが、あらためて実感できます。

2004年12月24日

2004年(平成16年)の台風は29個と、平年の27個と比べてやや多い程度でした。しかし日本人にとっては、台風による「災害の年」として記憶されることでしょう。台風が連続して日本を直撃して大きな被害を引き起こしたために、前例がないほどに台風の存在を感じた1年となりました。ただし、以前の台風に関する記憶が薄れない間に次々に台風が接近・上陸したことで、台風がそれぞれ独特の個性をもつことが比較できたばかりでなく、台風の個性を見極めることが防災・減災対策にも有効であることが見えたように思います。以下の統計値の一部は気象庁によります。
  • 日本列島への台風上陸回数(平年2.6個): 10個 (過去最多 / これまでの記録6個)
  • 南西諸島(沖縄)への台風の接近回数(平年7.2個): 15個 (過去最多 / これまでの記録12個)
  • 日本全国に接近した台風(平年10.8個): 19個1960年1966年に並ぶ歴代最多記録)
  • 日本付近(120E〜150E)の北緯30度まで「強い台風」を保って北上した台風: 10個過去
このように多数の台風が日本に接近したのは、台風の通り道となる「太平洋高気圧の縁」が日本付近に定着してしまったことが原因と言われていますが、さらにその原因は、とさかのぼっていくと、まだまだ未知の点は多いようです。そして2004年の台風災害は日本に限ったものではなく、フィリピンや中国・台湾でも台風による大きな災害が発生しました。以下では今年の特徴的な台風を取り上げ、簡単にまとめます(死者数などは消防庁の数字によります)。
台風200416号 (CHABA) 今年最も強い台風で、九州を縦断したあと日本海を進みました。そのコースと強い勢力に大潮のタイミングが重なり、瀬戸内海沿岸の香川県や岡山県・広島県などでの高潮被害は甚大なものとなりました。このような大規模な高潮の発生は事前に予想されていましたが、実際に取られた対策が後手後手であったため、その後の防災対策が見直されるきっかけとなりました。 台風200418号 (SONGDA) 上記の台風200416号 (CHABA)と似たようなコースを進み、九州に上陸した後も勢力が衰えずに日本海を縦断しました。そして北海道接近時に再発達したために北海道では風が強まり、北海道全域における農業・林業・インフラストラクチャなどの暴風被害は、数十年に一度ともいえる規模に達しました。その他の地域の被害も合計した損害保険支払金は2673億円と、2004年の他の気象災害と比較しても飛び抜けて大きな金額に達しています。 台風200421号 (MEARI) 沖縄付近で鋭角ターンをした後、最初から狙っていたかのように日本列島に接近してきました。中心気圧でみた勢力はそれほど強くありませんでしたが、紀伊半島や三重県における豪雨は、もともと多雨なこの地方でも想定を越えるもので、三重県を中心に同時多発的な豪雨災害となりました。また土砂崩れなどにより、愛媛県でも大きな災害が発生しました。 台風200422号 (MA-ON) 台風ラッシュはまだ終わりませんでした。この台風も最初は小さめの台風でしたが、本州南海上で意外なほどに強く発達し、勢力が衰えずに高速で伊豆半島に突っ込みました。伊豆半島ではまるで竜巻被害のような暴風被害となりましたが、上陸後に台風が急速に衰えたために、厳戒体制の東京は軽微な被害で済みました。 台風200423号 (TOKAGE) もういい加減にしてくれと人々が願うも、再び接近してきた台風。中心気圧などの数字は今年の他の台風と比べて格別目立つものではありませんでしたが、広大な強風域(超大型の台風)は最初から特徴的で、中心から離れた場所でも強い風が吹き始めました。そして台風はほとんど衰えないまま日本列島まで到達し、台風被害が比較的少ない日本海側・瀬戸内海沿岸でも風雨が強まります。そして台風が通過した翌日以降、死者94名(不明3名)という、最近25年の台風災害としては最大の人的被害が全国各地に広がっているのを目にすることになりました。台風23号災害に関する報道は、直後に発生した新潟県中越地震災害に関する報道の陰に隠れた格好となりましたが、今後の災害対策に大きな課題をつきつけた、今年最大の問題台風といえるでしょう。
フィリピン 台風200425号 (MUIFA)台風200426号 (MERBOK)台風200427号 (NANMADOL)の3連続台風と熱帯低気圧Winnie(フィリピン名)の上陸により、死者1500人以上という大きな被害が発生しました。 中国 台風200413号 (RANANIM)により、浙江省では数年ぶりの大きな被害となりました。 台湾 大きな被害には、台風200407号 (MINDULLE)による南部と山間部の被害や、台風200417号 (AERE)による北部と山間部の被害などが目立ちました。 太平洋の国・地域 大きな被害には、台風200401号 (SUDAL)によるヤップ島の被害や、台風200416号 (CHABA)によるサイパン・ロタ島の被害などがあります。
今年は、台風の相次ぐ上陸とともに天候の「異常さ」が盛んに語られ、いわゆる「地球温暖化」との関連について多くの人々の関心が高まった年でもありました。その関連については、あるかもしれないが正確な因果関係はまだ掴めていない、というのが正直なところです。もちろん今年の気象現象は科学的見地から詳細に解析すべきですが、台風の日本接近に関しては「地球規模の大気の流れがたまたまそうなったから」という側面も否定できません。2004年の局地的な現象だけを捉えて「日本に接近した台風が多いから地球の気候は異常だ」というのは、やや飛躍した論理でしょう。 もっと意味のある問題は例えば、地球温暖化などの気候変動に伴って、台風の性質や経路が長期的な傾向としてどう変化するのか、という問題です。そして注目すべきは、北緯30度まで「強い台風」を保って北上した台風が今年は多かったこと。この事実は、日本のような北方に位置する地域にも強い台風が接近しやすくなる、という傾向を意味しているのでしょうか? もしこのような強い台風の接近が今後も増加するのなら、台風への対策は根本的に考え直す必要があります。今のところそのような傾向は見られない(より正確に言えば、見られるとは言えない)というのが一般的な見解ですが、実際に何らかの傾向があるのかどうかを確認するためにも、2005年以降の台風活動には注目です。 また世界的には、台風だけではなくハリケーンの連続襲来も話題になりました。チャーリー(Charley)、フランシス(Frances)、アイバン(Ivan)、ジーン(Jeanne)と大きなハリケーンが米国およびカリブ海の国々に連続して接近し、ハイチではハリケーン・ジーンによる死者が2000人にも達する大規模災害が発生しました。地球の気候変動によりこのまま気温が上昇していくと、台風のような激しい気象現象が世界全体で増加する可能性があるとの指摘が、現実的な危機感をもって受け止められたのが2004年であった、と言えるでしょう。

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