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2008年(平成20年)の台風に関する情報のまとめ

2008年12月27日

2008年(平成20年)の台風は、22個と平年よりも少ない発生個数で、2007年の台風よりもさらに活動が低下しました。そして北上せずに西に向かう台風が多かったために、日本では台風の接近数は9個と平年値10.8個を下回り、さらに台風の上陸数については1951年以来4回目の「台風上陸数ゼロ」の年となりました。日本の中でも唯一、伊豆・小笠原諸島では接近数が6個となって、平年値の5.0個を上回りましたが、全体的に見て台風の影響は小さい年だったと言えるでしょう。 まずは日本に影響を与えた代表的な台風をピックアップしてみます。 台風200813号 (SINLAKU) 南西諸島の南方で発生し、急速に発達して先島諸島に接近した後、台湾に上陸しました。その後は急速に衰えましたが、しぶとく粘りながら勢力を回復させて本州南岸を進み、もう少し経路がずれれば今年唯一の上陸台風となったかもしれません。先島諸島では強い勢力を保ちつつゆっくりと進んだため、与那国島では24時間降水量770mmという歴史的な豪雨を記録し、Uターンして接近した本州でも各地で大雨となりました。

その他の地域の台風

今シーズン最大の被害を引き起こした台風は、フィリピン中部を直撃した台風200806号(FENGSHEN)です。台風警報を無視して出航したフェリーがフィリピン中部で沈没したため、死者約800名に達する大惨事が発生してしまいました。その他、台湾や中国にも台風が上陸し、ベトナムでも水害が発生しましたが、大規模な災害は比較的少なかったようです。

台風の活動度

さて今シーズンの台風の活動は活発だったのでしょうか。この疑問を解決するために、台風の活動度を評価する指数の代表的なものとしてAccumulated Cyclone Energy (ACE)を使って、1977年以降の32年間の各シーズンごとのACEを計算してみましょう。ACEが小さいシーズン順に並べてみると2008年の台風シーズンの活動度は、1999年(弱い台風ばかりが発生した年)と1998年(台風がわずか16個しか発生しなかった発生個数最小記録の年)に続いて3番目に不活発な年となりました。他の指標でも小さい方から数えて3番目から4番目です。この結果は、今年の台風は発生個数自体が多くはなかったし、個々の台風を見ても強い台風はあまり多くなかった、ということを意味します。 これは2007年から継続している傾向ですが、太平洋南方のマリアナ諸島付近を発生場所とし、そこから長時間をかけて大きく発達していく「本格派」の台風が出現していません。強い台風のパターンとしては、他にもフィリピン東方で発生して急速に発達するパターンもありますが、この場合はあまり大きく発達しない場合が多く、上陸までの時間が短いこともあって強い台風の時間は短くなります。気象庁は「北西太平洋の熱帯域で平年より高気圧が強く、積乱雲の発生が抑えられた」と今年の台風についてまとめていますが、このあたりがここ2年の不活発さの大きな原因と言えそうです。

ハリケーン

北大西洋のハリケーンは引続き活発で、米国の国立ハリケーンセンターは2008年は最近64年間の中で最も活発な年の一つと述べています。命名された熱帯暴風(日本の台風に相当)は16個、ハリケーンは8個と、過去4-5番目の数字を記録しました。また6個の熱帯暴風が連続して米国に上陸したのは歴史上初めてとのことです。(詳細:Wikipedia

サイクロン

今年最大の注目を集めたトロピカル・サイクロンは、またもや北インド洋のサイクロンとなりました。ミャンマーに上陸したCyclone NARGISは人口密集地帯の低地に大規模な高潮を引き起こし、被害規模は未だに明らかではないものの、一説によると死者146,000人と、記録に残る世界のサイクロン災害の中でも過去最大規模の災害となりました。また軍事政権による消極的な救援活動は被害を拡大するとの指摘も繰り返されましたが、結局のところ軍事政権はこの大災害の後も従来の政策を変えてはいないように見えます。

その他の話題

台風観測に関する話題として、今年はいくつかの話題がありました。まず「双方向予報システム」の実験がありました。気象庁のプレスリリース台風の特別観測実験T-PARC2008についてでは、この実験の内容を(あまり簡単ではありませんが)紹介しています。この実験は、台風の予測の鍵を握ると思われる領域の観測データを増やして、台風の予測精度を向上させることを目的としており、航空機やGPSゾンデ、気象衛星を活用して台風ごとに場所を移して特別観測を行いました。その結果として、明らかに予測が向上した事例があったとのことです。今後はこのように、ただ台風が来るのを待って観測するのではなく、台風を追い掛けて観測するというような、よりアクティブな予測手法が広まることが期待できます。 次に、気象衛星「ひまわり」の後継機(8号と9号)の来年度予算が認められたというニュースがありました。その経緯については、MTSAT打ち上げを追う!ブログで関連情報をアップデートしています。今年初めには予算のメドがたたないということで継続が心配されましたが、来年度の予算が確保されたことで後継機の打ち上げ計画は大きく前進することになりました。気象衛星は台風観測に不可欠のデータを提供するもので、これから数年におよぶ計画が順調に進むことを期待しています。 最後に毎年取り上げている台風と地球温暖化の問題です。今年は日本に上陸した台風がゼロだったため、日本ではこのことが話題になる機会さえなかったという状況でした。ただ、相変わらず「地球温暖化論は間違い」というような本が出版されている一方で、「地球温暖化で巨大台風が来る」というような本も出版されており、これだけ二匹めのドジョウを狙う人達が多いということは、どちらの陣営も悪くない売れ行きなのでしょう。しかし、2008年秋の米国発金融危機以後の世界経済の激変と資源価格の下落によって、人々の関心は地球温暖化論から他の問題に移ってしまったような感もあります。それで本の売れ行きは落ちるかもしれませんが、その裏では地球温暖化対策(およびそれと連動した新エネルギー対策)の動きが着実にスピードを増しています。もうこの動きが後戻りすることはないでしょう。

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