台風9号（MINDULLE）による北海道の大雨をひまわり8号で見てみましょう。ひまわり8号は静止気象衛星としては世界初のカラー画像を観測できるため、これまで観測できなかった現象が見えるようになりました。河川から流出する泥水などもその一つです。台風201609号による大雨と北海道各地の河川の泥水を見ると、石狩川や十勝川などの大河川の河口から海に向かって、茶色の帯が延びていますが、これが増水した河川から流出する泥水です。カラー画像によって同じ水でも色の違いが見分けられるようになったため、泥水でも鮮明に見えるようになりました。その他、オホーツク海沿岸にも泥水と思われる筋が何本か見えますし、日高地方はあまり鮮明ではありませんが何らかの模様のようなものが見えます。このようにひまわり8号では、新たに得られる情報の活用が進みつつあります。

台風9号（MINDULLE）は、昨日22日の12時半ごろ千葉県館山市付近に上陸、そして本日23日の6時頃に北海道日高地方に上陸し、昼にはオホーツク海に出て温帯低気圧に変わりました（参考：気象庁防災情報XML）。上陸直前に勢力を強めた台風は意外と強力で、八重見ヶ原で22日1:23に最大瞬間風速50.9m/sを記録しました。上陸後も台風はしっかりした構造を保ったため、関東地方は吹き返しの風雨も含めて、比較的長い時間にわたって影響を受けました（参考：Facebookの記事）。雨雲レーダーの動画（MP4 / GIF）を見ても、しっかりした渦巻きの構造を保った台風によって関東地方の西側で特に雨量が増えた様子がわかります。 また台風7号から台風11号までの積算雨量は東日本から北日本の太平洋側と北海道にかけて多くなりました。特に北海道での雨量は記録的となり、例えば羅臼や糸櫛別などは、従来の記録をはるかに上回る雨量を記録しています。このような大雨により、各地の河川では増水や氾濫となり、各地で被害が発生しました。 さらに、北海道への台風の連続上陸も前例のない状況となりました。台風7号は17日に襟裳岬付近に、台風11号は21日に釧路市付近に上陸しましたが、これは本土に上陸せずに北海道に上陸するという意味で非常に珍しい現象です。その後23日に台風9号が上陸したため、1週間以内に3つの台風が上陸するという異例の事態が生じました。さらに付け加えれば、台風6号も15日に根室半島付近を通過しており、これも少しコースがずれれば上陸した可能性がありました。これも含めると10日以内に4つの台風が上陸または通過したこととなります。以上はいずれも速報段階の記録であり、今後修正される可能性もありますが、いずれにしろ今年の台風シーズンは台風上陸・通過データベース（完全版）に特異な記録を刻みこむことになりそうです。

台風9号（MINDULLE）がマリアナ諸島で発生しました。このところ続いている「発達せずに北上する」台風がまたもう一つ生まれたという感じですが、今回は台風7号と違って比較的予報円が小さいため、予想進路はある程度定まっているという印象です。小笠原や伊豆諸島、そして関東地方への接近に注意するとともに、まもなく台風10号が伊豆諸島で発生する可能性もありますので、最新の情報を確認するようにして下さい。 通常の夏であれば日本の南の太平洋には巨大な高気圧が張り出しており、その周囲を右回りに流れる風に乗って台風が沖縄から本州にやってきます。ところが現在は日本の南に大きな低気圧が居座っているため、その周囲の気流も左回りに逆回転しています（数値予報モデルGPV）。そして大きな低気圧の周辺部で次々に小さな熱帯低気圧が発生しては、南の海でゆっくり大きく発達する間もなく、左回りの気流に乗って北上する状態が続いています。このように今年の台風シーズンは、いつもの夏とは大きく異なる様相を呈しています。そしてこのことが、台風7号のような観測史上初の記録（シーズン最初の上陸台風の上陸地点が北海道）を生み出す要因にもなっています。