2011年07月20日 21:30 JST
台風6号(MA-ON)による大雨ですが、魚梁瀬(高知県安芸郡馬路村)で日降水量の過去最大値を記録したことが話題になっています。確かにアメダス集中豪雨によると、日降水量(JST)として852mm(正確には851.5mm、以下の記録はいずれも四捨五入)を記録しており、これは1976年以来のアメダス観測の中で1位の雨量です。ただ「日降水量」という基準には少々注意が必要かもしれません。というのも、どこで1日を区切るかで、そのランキングは大きく異なるからです。その一例として、協定世界時(UTC)を基準とする日降水量を見てみましょう。すると今回の大雨676mmは歴代ランキングでは10位にとどまり、歴代ランキング1位という印象とはだいぶ異なります。
より公平な比較は「24時間雨量」でしょう。つまり任意の24時間で区切った場合の最大の雨量の比較です。この基準で見ると今回の大雨は860mmとなり、歴代7位の記録となります。また宮川(三重県多気郡大台町)の記録798mmも10位にランク入りしており、今回の大雨が四国だけではなく紀伊半島にも及んでいたことがわかります。また時間を変えて見てみると、魚梁瀬の48時間雨量1168mmは3位にランクインしており、今回の大雨は48時間雨量として最も注意すべき雨量だったとも言えます。
ゆっくりした速度で日本の南岸に接近する台風は、やはり大雨に警戒すべきだと改めて思いました。今回の大雨に匹敵するケースとして台風200514号(2005年9月)があり、こちらも同様に日本の南方を大型の台風がゆっくり進んだため、24時間雨量の歴代ランキングに2箇所がランク入りする大雨となりました。
2011年07月20日 02:30 JST
台風6号(MA-ON)ですが、0:30に徳島県南部に上陸したとの発表がありました。ただし台風経路図を見ると、東向きから再び北向きに曲がった不自然な経路となっている点が気になります。しかもそのたった3時間前には、「四国への上陸はなくなった」と宣言したばかり。気象庁にとってもこれは予想外の事態で混乱しているのではないかと想像します。
おそらく実態としては、すでに昨日のうちに、台風は高知県に上陸していたのではないかと考えています。昨日のレーダー画像等を見ているとき、「あれ、もう高知県に上陸しているんじゃないの?」と私も一瞬混乱しました。しかし21:50に気象庁が「四国への上陸はなくなった」と宣言しましたので、なんだろう私の見間違えかなとその時は思ったわけです。あるいはもし陸地を通ったとしても、それは室戸岬付近の通過として済ませるつもりなのかな、とも考えました。しかし今になって四国への上陸宣言が出たことを考えると、気象庁としてもやはり「通過」ではなく「上陸」と判断しているようです。
気象庁の今回の混乱は、四国沖で進路が急転回するという見事な進路予報のイメージにとらわれすぎたのかもしれません。確かに台風の進路は四国沖で変わりましたが、実際にはイメージしていたほど急角度では変わらなかった可能性があります。しかし予報通りに進路が変わったというシナリオへの思い込みがあったために、昨日は中心位置の目測を誤ったのではないでしょうか。そして、台風の中心位置が実測データと整合性が取れなくなってきて、その誤差がごまかせない(?)ほどに拡大してしまったため、気象庁としても「ここはひとまず実態に合わせておこう」と判断したのではないかと想像します。
この問題は、台風上陸情報発表問題でウェザーニューズと気象庁とが揉めた「台風200918号問題」と、構造としては似た部分もあります。すなわち、リアルタイムに発表する情報でこの程度の誤差が生じることはやむを得ないのですが、その誤差がたまたま「上陸」の前後に生じてしまうと、それが情報として目立ってしまうという問題です。もし気象庁の判断ミスなのであれば、後日に再解析するベストトラックデータでは適切な経路に修正してほしいと思います。
2011年07月19日 22:30 JST
2011年07月19日 13:00 JST
2011年07月18日 20:30 JST
2011年07月18日 08:00 JST
台風6号(MA-ON)は日本列島に接近しつつあります。 気象レーダー画像でもわかるように、九州や四国ではすでに大雨が始まっています。また リアルタイムアメダス風向・風速マップでも「GPV風向・風速」を表示すると、台風の周囲の風の状況を見ることができます。台風の進路は北向きに変わってきており、今後どのくらい日本列島に接近するのか最新の情報に気をつけるとともに、大型の台風ですので広い範囲で大雨、強風、高波に警戒してください。
2011年07月16日 23:15 JST
台風6号(MA-ON)は再び発達を開始しました。ここ数日発達が緩やかだったのは、最初のエントリに述べたように台風の雲が南側に偏っており、台風の雲形がなかなか対称的な形にならなかったことにあったと思います。しかしその状態は解消しつつあり、中心付近には眼も出現してきました。このように数日がかりでゆっくり雲形が整ってくるという例は珍しくありませんが、そういう時間的な余裕があるのも広い太平洋上をゆっくり進んでいるからこそです。しかし台風の進路には、本日午後から北方向への動きも加わってきましたので、台風はまもなく最盛期を迎えることになりそうです。
水不足が問題になっていることを紹介した小笠原諸島ですが、今のところアメダス父島もアメダス母島も、ここ72時間の雨量はたったの2mmにとどまっています。現状では水不足の解消に対して残念な結果となっていますが、この台風は超大型の台風のため、今後の進路によっては台風の通過後に雨が降るかもしれません。
2011年07月13日 22:30 JST
台風6号(MA-ON)は南鳥島近海で発達中です。今のところ発達を妨げるような要因は特に見えず、しかも太平洋上では発達する時間がまだたっぷり残っています。今後は 各種の台風情報に注意しながら警戒を強めてください。まもなくマリアナ諸島の北部が強風域に入りますが、もしかするとサイパンも最接近時には強風域に入るかもしれません。
2011年07月12日 16:45 JST
台風6号(MA-ON)が南鳥島近海で発生しました。このエリアで台風が発生したのは2009年以来で、久しぶりの発生になります。太平洋の真中を西にゆっくり進むとの予報が出ており、発達する時間が十分にあります。注意が必要です。
この台風は2日後には小笠原近海に到達すると予想されています。つい先日、ユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録された小笠原諸島ですが、今年は少雨傾向が続いて約30年ぶりの水不足という問題を抱えています。この台風が恵みの雨になってくれればよいと思いますが、今のところはまだ中心の北側では雨雲があまり発達していないようで、小笠原の水不足が解消するほどの大雨になるかどうかは、今後の台風の発達にかかっていると言えるでしょう。
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